台湾学生運動リーダーが案ずる新政権の進路 結局は国民党のようになってしまう可能性も

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――投票日直前になって、一つの事件が台湾に大きな影響を与えました。韓国のガールズグループに所属する台湾出身の歌手が「中国人なのか、台湾人なのか」という敏感な問題をめぐって難しい対処を迫られ、その結果、彼女が所属する韓国の芸能会社はもちろん、中国に対しても強い反感を台湾国民が持つようになりました。結果、国民党からさらに票が逃げ、民進党などに流れ込んだという見方があります。

台湾の国際的地位と尊厳は、今後も台湾が向き合わざるをえない課題だ。とはいえ、「台湾は主権を持つ独立国家」と海外で納得させられるのか、その方法などを今後もより強化していく必要があると思う。制度的にわれわれがどのような方法で協力するのか、憲法を改正するなど法的にどのように処理するのか。そんな議論と行動をしなければ、似たような問題が今後も起きるだろう。

政治に関する多くのことを街で学んだ

林氏は海外留学を考えているようだ(写真:林雨祐)

――最近、自分のフェイスブックに「修士号を取った後、海外で勉強したい」といったことを書きましたね。政界への進出は、その後の選択の一つになるのでしょうか。

いま私が果たしている役割、これまでの社会闘争などすべて政治の一部分だと考えている。政治については政界進出が唯一の選択だと考える人は多いが、私はそう思わない。私がやってきた社会運動も、台湾社会を変えるというものだ。政界進出について、まだ考えていない。

――学術的なことと実践的な社会運動の二つには、どのような違いがあると考えますか。

私がこれまで得てきた政治に関する知識と経験の大部分は、街に出たことによって得られたものだ。学校で教えられたものは、運動中にはそれほど役に立たず限界があった。

しかし、今になって振り返ってみると、運動を行った後、運動そのもの、そして自分たちについて省みる必要がある。これまでの経験への反省を通じて、社会運動を改めて理解し、運動が再び成功できるような方法を考えるべきだ。これは、運動から離れて観察し、学ぶべきものだろう。

楊虔豪 台湾人ジャーナリスト
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