ツバキ・ナカシマ、何のためのMBOだったのか 儲かったのはファンドと元社長だけ
2000年代に入って、海外売上比率は若干低下したが、それでも2007年3月期時点で47.2%に達している。これだけの実績があるツバキ・ナカシマにとって、膨大な借金を背負ってまでカーライルのグローバルネットワークの活用が必要不可欠だったのか。
ツバキ・ナカシマは2015年12月期の業績について、売上高390億円(前期比8.2%増)、営業利益70億円(同34.1%増)と予想している。一見、過去最高だった2006年3月期の売上高323億円、営業益64億円を上回っているように見える。
しかし会計基準が2006年は日本基準、2015年はIFRSだということを考えると、少し違った風景が見えてくる。ツバキ・ナカシマはIFRS移行までは、のれんを毎期約16億円程度償却していた。
営業利益を16億円底上げしたIFRS効果
その分がIFRS移行によって営業利益を底上げしていることになる。日本基準はのれんの定額償却を義務付けているのに対し、IFRSはのれんを償却する必要がないからだ。
とすれば、会社が発表している2015年12月の70億円という営業利益の見通しは、日本基準に換算すれば53億円強になる。これは2007年3月期の53億円とほぼ同水準だが、2001年3月期の57億円や、2006年3月期の64億円は下回っている。
非公開化を公表した2007年1月23日の時価総額は935億円だったのに、再上場を果たした後は、同674億円(昨年12月30日時点)。日経平均は2007年1月23日が1万7321円、2015年12月30日は1万9017円だった。
結局のところ、MBOで得をしたのは野村証券とカーライル、それに非公開化を決めた当時の社長で、現在はシンガポール在住の近藤高規氏が今回の売り出しで16億円の現金を得た、くらいではないのか。
現在、ツバキ・ナカシマの取締役陣には、非公開化への賛同決議に参加した役員は残っていない。唯一、執行役員として残っている田中成幸氏に取材を申し込んだが、「今回の趣旨、内容での取材に対するご回答は辞退したい」として、話を聞くことはできなかった。
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