マンション価格は「旧価格」へ舞い戻る、下落はこれから本番へ《不動産危機》
当分マンション価格を上げられない理由
こうした状況からすると、当面、販売価格の引き上げは難しいとの見方が強い。このことは購買層が年明け以降、値下げに敏感に反応したことでも裏付けられており、今後、04年当時の価格水準を提示できるなら、マンション販売は回復への道筋を確認できるとも言える。
が、話はそう簡単ではない。中堅デベロッパー、アンビシャスの安倍徹夫社長は「今の価格水準では赤字。住宅ローン審査を緩和するほか、都市住民のベッドタウンに資金が回るような金融政策が不可欠だ」と言う。石澤氏も、「価格だけが購入動機ではなく、買いたいという意欲が出てくるためには景気の回復が不可欠だ」とし、本格回復には所得を含めた先行きの明るさが必要だ。
この点は新規供給が可能なデベロッパーも同じだ。石澤氏は「新規に用地取得した新しい物件は、秋ごろからの青田売りで価格を決めることになる。その場合、当初はピーク比で10%下落、2年ほどかけて20%程度まで下げていくのではないか」と予想する。
また、別のデベロッパーは「建設会社で手形でなく現金払いを求めるところが増えており、新規プロジェクトは見合わせざるをえない」と言う。その意味で今後、マンション業界は価格低下だけでなく供給戸数の減少という事態も覚悟する必要がありそうだ。首都圏における新規物件の供給戸数は前年(不動産経済研究所調べで4・3万戸)を下回る可能性も十分考えられる。