精緻に分析すれば、日本はまだデフレである

気鋭のエコノミストが新指数を作成

アベノミクス以降の日銀版CPIコアコアは2013年前半から2013年末にかけてと、2015年初から2015年央にかけての2段階で伸び率が加速しているが、これは円安が2段階で進んだことと相似形である。

両者の動きを比較すると、日銀版CPIコアコアはドル円から9カ月程度のラグを持って動いており、その相関係数は80%を超える。すでに円安基調は一服していることから、そろそろ日銀版CPIコアコアも頭打ちとなりそうだ。

為替レートの影響を排除することができていない以上、「消費者物価の基調的な変動」を示す指標としては完ぺきなものとはいえないだろう。

主成分分析の手法を使って新指数を作成

そこで筆者は、より包括的に原油価格や為替相場といった外生要因を排除する手法を開発し、新しいCPIのコア指数を作成した(以下、「みずほ証券版CPIコアコア指数」)。具体的には「主成分分析」の手法を用いて、(1)原油価格の変動を含む輸入物価による変動ファクターと、(2)為替相場による変動ファクターを統計的に排除することで、外生要因を取り除いていく。

まず初めに統計分析手法である「主成分分析」の狙いを簡単に説明したい。「主成分分析」の主な目的は、複数ある変数から新たな総合指標を作り出すことにある。この総合指標を「主成分」と呼ぶ。

例えば、小学校のクラスで国語と算数のテストを行ったときに、両科目の得点から各生徒の「総合的な理解度」を抽出するときに用いられる。両科目の得点を眺めているだけでは、国語は得意だが、算数が苦手な生徒、両科目が平均的に得意な生徒などさまざまで比較ができないが、総合指標である「主成分」の値を比較すれば、両科目の得点を考慮した「総合的な理解度」を使って各生徒の比較ができるようになる。

この主成分は、単純な2科目の合計値や平均値よりも統計的にもっともらしい指標である。ただし、「主成分」はあくまでも統計的にもっともらしいというだけで、定性的な説明は後から考えなくてはならない。つまり、抽出された「主成分」を見ながら、各生徒の「総合的な理解度」はどのように形成されてきたのかを考察するというプロセスが重要となる。

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