大阪・京都版「ミシュランガイド」が今秋登場、“食い倒れ”の街に“おいでやす”《NEWS@もっと!関西》
仏ミシュラン社は6日、厳選したレストランとホテルを紹介する「ミシュランガイド京都・大阪2010」を発行すると発表した。「ミシュランガイド東京」(2007年11月発売)に続く、日本における同書の第2弾となる。
同日行われた会見の席上、ミシュランガイドの総責任者ジャン=リュック・ナレ氏は、「今回私たちが赴く地は、1200年以上にわたり料理の伝統を継承・発展させてきた京都と、豊かで多様性に富んだ食文化を育んできた大阪です」と語った。
世界的なタイヤメーカーであるミシュランが、ドライバーが安全・快適に旅をするための情報提供を目的とするミシュランガイドを発行したのは1900年のこと。同書は調査員による独自のレポートを基に、レストランの調理技術の高さなどを星の数で評価するのが特徴。これまで100カ国以上で販売され、年間120万部(2008年)、累計で3000万部の売り上げを誇る、という。
「ミシュランガイド東京」2008年版は、発売と同時に書店の店頭から姿を消すほど売れまくり、東京のレストランなどに多大な影響を与えた。2008年は30万部、続く2009年版は20万~25万部の売り上げ実績。大阪や京都には日本人調査員7名が既に乗り込んでおり、一人年間500店=500食の試食を繰り返しているようだ。ただ、大阪・京都のどのレストランが掲載となるかなどの選定は「これから」としている。
大阪や京都にミシュランガイドが登場することは、利用者側には新しい選択基準ができることになり、また作り手側にも刺激剤となることが想定され、それぞれの食文化にとってプラス要因となることは確かであろう。ただ、両地域でミシュランガイドが浸透するには課題もある。
一つは、作り手側にガイドを発行する意義の理解を得られるかどうか。調査員は「試食調査」の後に「訪問調査」を行うが、その際は身分を名乗った上でシェフなどから情報を得る。だが、既に取材拒否を表明している京都在住のレストランもあるようだ。作り手側から有益な情報提供がなされなければ、ガイドの作成に支障をきたしかねない。
課題の二つ目は、大阪の飲食店の取扱いだ。大阪では、お好み焼きやたこ焼きなどの“粉モノ”や、串かつなどのいわゆる「庶民の食文化」が根付いている。全国的には無名であっても、地域住民に支持されている店舗が無数にある。こういった店舗もガイドに掲載されるのか。ミシュランは「時期尚早」と煙に巻くが、取り扱い状況によっては地域住民がガイドにソッポを向くリスクもあるだろう。
三つ目は、「値段」の評価軸である。関西の食事情に詳しいある関係者は次のように指摘する。「大阪には、料理の味付けなどの他に、値段に対する評価軸がある。ガイドには値段の評価が入らない可能性があるが、それを読者がどのように判断するだろうか」。
独自の食文化を育んできた大阪と京都に、ミシュランガイドは新風を吹き込むことができるのか。「ミシュランガイド京都・大阪2010」の発売は今年10月だ。
(梅咲 恵司=東洋経済オンライン)
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