「セサミストリート」が生まれ変わっていた 財政難で公共放送から有料ケーブル局へ
セサミストリートは、古いものと新しいものの微妙なバランスを取っている。子供の教育にエンターテインメントメディアの力を活用するというそのミッションを追求し続けながらも、テレビ画面と同じようにスマートホンの画面にも慣れ親しんでいる世代の子供にも受け入れられる番組にしようとしているのだ。
「視聴者を知れば、より期待に応えることができ、より良いストーリーを作ることができる。そうすれば視聴者により愛される」と、番組を制作する非営利組織セサミ・ワークショップのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼クリエイティブ・ディレクターのブラウン・ジョンソンは言う。
放送時間は30分に短縮
これまで1時間だった番組は、子供の集中力が持続する時間を考慮して30分に短縮された。伝統あるテーマソングとイントロも、アップテンポになるなどスタイルが変わっている。テーマソングはこれまでと変わらずセサミストリートという架空の通りの場所を尋ねる内容だが、イントロは初めて、ニューヨークのクイーンズ地区にあるスタジオのセットで収録された。
新シーズンは、従来よりも有名人の出演やパロディは少なくなる。幼い子供たちはセレブを知らなかったり、意味がわからないことも多いからだ。「今日の文字」のコーナーで取り上げるよりも、親友とはどんなものかグウェン・ステファニーに歌ってもらうほうが伝わると、ジョンソンは言う。他にもファレル・ウィリアムスやNe-Yo(ニーヨ)なども出演する予定だ。
ビッグバードやスナフッルアパガス、オスカー、バート、アーニーも引き続き登場するが、物語はエルモやアビー、クッキーモンスター、ロジータなどを中心に展開していく。ジョンソンによれば、親しみのあるキャラクターを子供たちが毎週観られるようにするためだ。
セサミにとって、今年は極めて重要な年だ。セサミ・ワークショップは2015年度に740万ドルの損失を出し、営業収益は前年から10%近く減少。財政的な困難に直面した新経営陣がパートナーに選んだが、HBOだった。HBOはセサミストリートの独放送権を9ヵ月間保有し、その後はPBSで無料で放送される。PBSは現在、過去5年間に放送された番組を抜粋して再放送している。