「セサミストリート」が生まれ変わっていた 財政難で公共放送から有料ケーブル局へ

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セサミストリートのキャラクター、グローバーとクッキーモンスター(写真:Dolly Faibyshev/The New York Times)

セサミとHBOの幹部は、昨年8月に公表した合意について、番組の財政的な安定のために不可欠だとした。しかし、ネット上や一部の支持団体の間で批判が巻き起こった。十分な支援を受けていない子供たちの就学準備をサポートする目的で生まれたセサミストリートが、公共放送から有料ケーブルテレビに移行することで格差の拡大につながることを不安視する声もあれば、HBOが番組に介入してより商業的になり、教育的な面が損なわれるのではないかという指摘もあった。

セサミ・ワークショップが番組制作の決定権を維持すると、幹部は主張している。HBOの役員たちは番組のセットを訪れたが(興奮して人形たちと写真を撮りたがった)、内容には口出しをしていないとジョンソンも言う。「脚本や完成前の番組を見たいとも言わないし、何も要求しない」

制作スタッフの多くは長年、番組に携わってきたベテランだ。エグゼクティブプロデューサーのキャロル・リン・パレンテは27年、俳優のキャロル・スピニーは1969年の放送開始以来ビッグバードとオスカーを演じている。一方で、新しく加わる幹部もいる。

現代の子供を理解するために

子供向けチャンネル、ニコロデオンの幹部だったジェフリー・ダンは、2014年9月にセサミ・ワークショップのチーフエグゼクティブに就任した。2015年4月、彼は幹部を刷新し、そのうちの1人がニコロデオンの未就学児向け部門を率い、『ドーラといっしょに大冒険』や『ブルーズ・クルーズ』など人気番組を手掛けたジョンソンだ。

ジョンソンは、セサミストリートが築き上げてきたものは尊重しつつ、ストーリーを簡潔にし、新しいことに挑戦し、現代の子供とメディアの状況の理解を深めるため新鮮な視点を取り入れるよう努力していると語った。例えば最近では、操り人形師たちがデイケアセンターなどの子供を訪問し、交流を図った。

脚本の最初の草稿を絵本にし、未就学児に読んでもらう試みも始めている。バレンタインデーのエピソードは、オリジナルの脚本ではエルモが祝日に向けてワクワクするというストーリーだったが、絵本を読んだ子供たちはその祝日をよく理解できていなかった。

昨年12月、修正された脚本に沿って番組の収録が進められていた。そこではエルモが取り乱していた。彼がアビーのために用意したカードを犬に取られてしまい、バレンタインは台無しだ。フーパーズストアを経営するアランはエルモを慰め、祝日というのはプレゼントよりも人を思いやることなんだと諭す。

「クッキーやカードじゃない」と、ディレクターズチェアに座って撮影を監督していたパレンテは言った。「大切なのは気持ちだ」

(執筆:Emily Steel記者、翻訳:前田雅子)

© New York Times News Services

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