【産業天気図・海運業】バラ積み船市況が高値で頑強、08年度前半・後半とも「快晴」

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海運業界では、鉄鉱石・石炭・鋼材・穀物・木材などの乾いた粗原料を運ぶ「バラ積み船」運賃市況の動向が業績動向を左右する状況が続いている。昨年末以降、弱含んでいたバラ積み船市況が足元の3月にかけて出直り色を強めており、今後も大きく下振れする要因は見当たらないことから、2008年前半は「快晴」、後半も「快晴」予想を継続する。
 バラ積み船の運賃は年末にかけて暴騰を続け、07年度の海運業界が過去最高の業績を達成するうえで大きな原動力になった。大型のバラ積み船であるケープサイズの運賃の場合、昨年末のピーク時で1日当たり20万ドルをつけたものの反落。海運大手3社(日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>)の第4四半期(08年1月~3月)想定運賃は7万~10万ドルと弱気に振れていた。ところが、豪州・ブラジルから中国向けの鉄鉱石輸送を中心に需給が逼迫し、足元では14万ドルと反騰を強めている。07年の通年でのケープサイズ平均運賃は11万~12万ドル前後と見られるが、これを上回る水準で運賃市況が推移しているため、08年度もバラ積み船の運賃高止まりを主因として利益が続伸する確度が高まってきた。バラ積み船市況の反騰を確認する前にまとめた「会社四季報春号」では、08年度は大手3社は営業益強含み程度、準大手3社(第一中央汽船<9132>、新和海運<9110>、飯野海運<9119>)は営業益横ばいか減益と慎重予想にとどめたが、早くも上振れの可能性が出てきた。
 一方、今のところバラ積み船の好調で隠れがちだが、下振れ要因も引き続き潜在している。製品・商品・部品などを運ぶコンテナ船はアジア−北米航路が米国景気減速懸念に加え、内陸輸送のための貨物鉄道等のコスト上昇が著しく、08年度も収益改善は限定的となりそうだ。原油高騰に連動した燃料油C重油の上昇も、燃油高の運賃転嫁の仕組みが十分でないコンテナ船部門を中心にコストアップ要因となりそう。また、海運の中心である外航海運の収入はドル建てが主のため、円高が進めば目減り要因になる。
 とはいえ、バラ積み船の運賃高止まりに加えて、大手・準大手各社で比較的低船価の新造船投入が08年度もピークとなるため、下振れ要因はカバーできそう。今のところ期中を通して「快晴」が期待できそうだ。
【大滝 俊一記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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