第3次野菜ジュース戦争勃発!/隠れたヒット商品「こけしマッチ」に学べ/アサヒビールはパンドラの箱を開けたのか?《それゆけ!カナモリさん》

■思わず吹き出すかわいらしさ

 「こけしマッチ」。

 商品写真を見て吹き出さないように注意いただきたい。

 マッチである。ただのマッチだ。ただのマッチに顔が描いてあるだけ。それだけ。しかし、その顔がいい。なんともトボケた表情が心地よい脱力感を与えてくれる。マッチ箱のヘタウマっぽいイラストと、「人生のともしび」というコピーもいい。

 きょうび、マッチを使う機会などめったにない。プロダクトライフサイクルで考えれば、もはや衰退期どころか消滅寸前のプロダクトである。

 しかし、マッチに顔を描いただけで、「こけしマッチ」は、もしかすると生まれてこのかた、マッチを擦ったこともないような新規ユーザーを獲得し続けているのだ。

 マッチの中核的価値は当然、「火を点けられる」である。実体は「どこにでも簡便に持ち歩ける」だ。付随機能は何かといえば、パッケージのデザインだろう。今はほとんど見かけないが、パッケージの意匠に惹かれてコレクションをしている人もかつては多かった。

 マッチの持つ価値構造の、中核と実体は、今日では完全にライターが代替している。喫煙者がいない家庭でも、1つ100円で購入できるため、ライターの一つや二つはあるだろう。
 「こけしマッチ」はマッチの持つ、付随機能を極限まで高めたと解釈できる。

 つまり、「趣味のコレクション」としてのマッチである。パッケージに楽しい絵が描いてあるなら、マッチの頭にも絵があった方が楽しいだろう。そんな価値構造の転換が発想の原点ではなかっただろうか。

 同サイトには、使い方はいろいろ。マッチをすって燃えゆくマッチにちょっと罪悪感をおぼえたり、色んなマッチたちをコレクションしてみたり、とある。しかし、恐らくこのマッチを本来の「火を点けられる」という価値を実現するために用いる人はいまい。何といっても、このマッチ、4箱で1,000円もするのだ!擦って燃やしてしまってはもったいない!燃やさないマッチなのだ……。

 商品の持つ価値構造を組み替えたり、転換したりすることによって、ヒット商品は生まれる。既成概念だけで考え、「モノが売れない」と嘆く前に、柔軟な発想をしてみることが必要なのだ。
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