SFCG 驚愕の債権ニ重譲渡、ノンバンクの資金調達に多大な影響も

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 今回の重複譲渡では、日本振興銀行よりも先に証券化スキーム向けの債権譲渡が行われたケースがほとんどだった。信託銀行側が譲渡契約の正当性を主張すれば、譲り受けたローン債権から日本振興銀行が計上した既存利益が不当利得として否定されかねない。それどころか、債権の存在自体が否定されると、その金額に相当する貸倒損失の発生も避けられなくなる。

この点について日本振興銀行は「上場株式担保など約200億円、上場企業などによる保証約200億円、不動産その他約200億円を担保及び保証として確保している」と十分な保全があると説明。だが、株式や不動産が下落傾向にある中で、実質的な保全効果は判断しにくい。

資金調達に支障も

証券化市場における重複譲渡は今回が初めてではない。昨年末に破産した中堅消費者金融会社でも、過失による二重譲渡が判明した。こうした事態が発生するのは「登記のシステム上(すでに債権譲渡の登記があるかどうかの)照合が困難であるため」(大手銀行関係者)。重複を防止する観点からも、対象債権の債務者(ローンの借り手)に譲渡通知することが望ましいとされている。だが、債権譲渡の円滑化という側面から、特例法で認められた譲渡通知を行わない「サイレント方式」が採られることが多い。つまり、今回の重複譲渡発覚がレアケースとも言い切れない。

SFCGの重複譲渡に伴い、証券化市場の投資家に損失が及ぶことになれば、証券化市場への投資マインドが一挙に冷え込み、市場機能が低下するおそれもある。中でもノンバンクの資金調達手段としてのローン債権流動化に支障が出かねないという懸念の声も上がっており、その影響は計り知れない。

(浪川 攻 =週刊東洋経済)

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