SFCG 驚愕の債権ニ重譲渡、ノンバンクの資金調達に多大な影響も

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SFCG 驚愕の債権ニ重譲渡、ノンバンクの資金調達に多大な影響も

商工ローン大手SFCGの経営破綻劇が、証券化市場を脅かす事態に発展しつつある。同社が資金調達の一環として行っていたローン債権譲渡で膨大な「重複譲渡」の事実が発覚したからだ。

SFCGが行った債権譲渡は、証券化スキームであるABS(資産担保証券)向けと、単純な譲渡の2方式。ABSを組成した信託銀行は、日興シティ信託、あおぞら信託、新生信託、オリックス信託銀行で、単純な譲渡先は日本振興銀行だった。債権の“使い回し”ともいえる重複譲渡は、これら5社に行われていた。

現時点で明らかになっている重複譲渡額約700億円の大半は、信託銀行と日本振興銀行との二重譲渡。ほかにも信託銀行間での二重譲渡、さらには日本振興銀行を含めた三重譲渡まであるようだ。

民再直後からの懸念

2月下旬にSFCGは民事再生手続きを開始したが、税金滞納で当局から預金口座が差し押さえられ、事業資金が枯渇。貸金業の登録取り消しも不可避となったため、東京地裁は3月24日で再生手続きを廃止に。保全管理人が選定され、破産手続きへと移行した。当然ながら、巨額の重複譲渡発覚も再建の道を閉ざした大きな要因だ。

実は、民事再生法の適用申請直後、関係者が重複譲渡の懸念を申立代理人弁護士へ伝えていた。内部調査によってその事実が確認されたため、同代理人が債権譲渡先などへ説明を行ったのが3月10日。これで信託銀行関係者らに一挙に困惑が広がった。

保全管財人の瀬戸英雄弁護士は重複譲渡について「SFCGからは事務上のミスと聞いている」と説明する。だが、譲渡額の巨額さを踏まえると、意図的な行為の可能性も排除できない。今後の調査で「詐欺的な意図」があったとなれば、大島健伸会長ら旧経営陣は刑事責任の追及を受けることになる。

また、現実的な問題として二重譲渡の関係整理がどう行われるかも重要だ。同一債権で法的にも有効な譲渡登記が複数存在する場合、通常は日時が先の登記が第三者対抗要件を有する。つまりSFCGから最初に債権を譲り受けた法人が譲渡契約の正当性を主張でき、後者(登記日が遅い)の債権譲渡は無効になる。

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