中国富豪ランキング2008年版--バブル崩壊直撃で多くの富豪が資産激減
黄氏は06年にも、中国銀行北京支店から13億元を違法に香港の会社や親族などに送金したとして調査された経緯がある。これ以来、現在まで当局の調査は継続され、兄の黄俊欽氏や妻の杜鵑氏などが拘束されたほか、国家外国為替管理局や商務部の官僚も関連容疑で共産党中央規律検査委員会の調べを受けているとされる。そして今年に入ってからは、黄氏の事件を担当していた公安部の鄭少東・経済犯罪捜査局長および相懐珠・副局長が規律違反を理由に捜査から外されるなど、事件はかつてないスケールで広がりを見せてきた。
気を吐く製造業組 俳優など新顔も
08年ランキングのトップ10のうち、07年に比べ資産を増加させたのはすべて製造業関連の経営者である。2位の杜双華氏は日照鉄鋼グループを率いて07年の80億元から350億元へと資産を増加させ、07年の81位から一気に2位へと駆け上がった。10位の張志祥氏も資産を倍増させ、07年の65位からのランクアップとなった。5位の劉永行氏も前述の2人よりは小幅ながら資産を増加させ、07年の26位から5位へとランクアップした。
家電製造の美的グループを率いる何享健氏は資産195億元で12位に、自動車部品の万向グループの魯冠球一族は資産額185億元で14位となった。前年はともに資産110億円、62位で、大きくランクアップした。
年齢が35歳以下の若い富豪は1000位までに21人がランクインした。最も若い富豪は20歳の呉郡氏で、父親の呉光明氏と医療会社を経営し、その資産は11億元になる。
08年には88人の女性企業家がランクインを果たし、全体に占める割合は8・7%となった。女性比率は前回に比べ0・7%上昇した(06年と07年はそれぞれ7・0%、8・0%)。
また、特色のある富豪として、日本でも有名なアクションスターのジェット・リー(李連傑)氏が資産額15億元でランキング539位に入っている。彼は慈善事業にも熱心で、中国赤十字会の「李連傑壹基金計画」の発起人でもある。
また、米プロバスケットボール選手である姚明氏は資産額7億元で987位にランクイン。姚明氏の07~08年シーズンの年俸は1376万米ドル、08~09年シーズンの年俸は1507万米ドルに上った。また、彼は巨額のCM出演料を得ているほか、「姚餐庁(レストラン)」の経営者でもある。
05年にはIT関連の経営者が、06年、07年には不動産関連の経営者が上位を占めた「胡潤百富」。ランキング上位の入れ替わりの激しさは、中国のビジネス界の激動ぶりを如実に表している。今回は製造業組の健闘が見られたが、輸出の低迷による中国経済の停滞を超えて彼らがどこまで頑張れるか。09年のランキングがどう変わっているかは、中国経済の将来を占ううえでも興味深い。
※次ページ以降にランキング表