「サビ残漬け」の幼稚園教諭、抜け出す手段は 「変形制」導入でタイムカードが廃止され…
「労働基準法は労働時間を原則として1日8時間、1週40時間以内と規制しています。変形労働時間制はこの原則を緩和し、一定期間(変形期間)を平均して1週40時間以内であれば1日8時間、1週40時間以上働かせてもいいとするものです(変形期間には1カ月単位、1年単位、1週間単位の3つがあります)。
たとえば、1日の労働時間の定め(これを所定労働時間と言います)を9時間、あるいは週42時間とすれば、法定労働時間の8時間を超えた1時間、後者の場合だと40時間を超えた2時間について、残業代を支払わなくてもよいことになります。
この制度により、業務の繁閑がある場合に、所定労働時間を増やしたり減らしたりして経費を削減し、残業代を少なくできるので、使用者にとってメリットが大きくなります。
しかし、あくまで変形制は、労働時間規制の『例外』です。また、制度の目的は使用者の利益のためではなく、労働時間を業務の繁閑に合わせて変形することで、全体の労働時間を短縮することにあります」
投稿者が勤務する幼稚園の運用に問題はないのだろうか?
働き方を使用者が勝手に決めることはできない
「残業が恒常化することは、制度の趣旨に反することになります。変形制は労働時間規制の例外なので、導入するための要件は本来、非常にきびしくなっています。
投稿者のような1年単位の変形制の場合、まず労働者の代表と労使協定を結ぶことが必須とされます。労使協定では、導入の可否だけでなく、原則として変形期間の全日について、労働日、所定労働時間、休日を具体的に特定しなければなりません。使用者が勝手に決めることはできません」
また、野澤弁護士は「変形労働時間制は、平均して週40時間以内におさまれば済むという単純なものではありません」とも指摘する。