若者の「旅行離れ」は本当か? 求めているのは旅の“きっかけ”《特集・日本人の旅》


 若者の旅離れが進んでいる--。昨年あたりから、こうした話題が盛んにメディアをにぎわすようになった。議論を呼んだきっかけは日本人の出国人数に関する年代別データ(入国管理局の統計など)だ。確かに2007年の20代(20~24歳)の出国人数は00年と比べて約28%も減っている(上の折れ線グラフ)。

だが、帝京大学経済学部観光経営学科の石井昭夫教授は、この比較にはいくつかの盲点があると指摘する。「90年代後半は、ちょうどかつてのスキーブームのように海外旅行がブームだった時期で、いわば一時的な現象にすぎない。その時期をピークに減少はしているが、20代の人口そのものも約13%減少しているという点も忘れてはならない」。

とはいえ、今の若者にとって旅行とは、身の回りにあふれる数々の娯楽のうちの一つにすぎない。エイチ・アイ・エス関東国内旅行営業グループの鮫島卓氏は「今の若者を旅行に誘うには、『日曜日に行くなら映画か旅行か』という視点で企画を考えなければ勝てない」と語る。

旅への“飢餓感”ない 卒業旅行は複数回行く

エイチ・アイ・エスの日帰りバスツアーは今、20代の若者に人気だ。デートに使うカップルや、母親を伴って参加する女性が多く、コースによってはバスの客席の8割以上を20代が占めることもあるという。確かに、日曜日の映画と食事でおよそ5000円。対して日帰りツアーは、丸一日楽しめて3000~5000円。24時間、前日18時まで予約可能とあれば、選択肢として十分に張り合える。

エイチ・アイ・エスの日帰りツアーの広告は、「イチゴ狩り食べ放題と温泉」「アルパカ牧場とアウトレット」「ビール工場エコツアーとジンギスカン食べ放題」など、内容こそ盛りだくさんに書かれているが、行き先の表示は目立たない。「うちの顧客にとって『どこに行くのか』はさほど重要ではない。最も関心を引くのは、『何をするのか』という内容だ」(鮫島氏)。

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非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

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