まだ多い「就活生をだまして入社させる」手口 「入社さえさせれば」と考える企業はまだ多い

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入社前と入社後のギャップによる離職を気にして、仕事のリアルを伝える企業が増えていますが、同時に「入社させてしまえばなんとかなる」と考える企業がまだまだ多く存在するのも事実です。表面的にカッコよさそうな仕事、華やかそうに見える仕事の情報だけで判断せず、リアルな仕事内容を見ることができれば、ミスマッチのリスクを減らすことができるでしょう。

入社後すぐにやることになりそうな仕事が具体的に何なのか、自ら聞いたり調べたりすれば、ある程度は見えてきます。また、入社から1~3年程度の具体的初期育成プランを聞くことで、どんな経験を初期に積んでいくのかを知ることができます。

入社初期の頃は、実際に入社してからすぐに行う仕事と、入社前にイメージしていた仕事とのギャップが大きくなりがちです。しかもその頃は、仕事へのストレス耐性も低いことが多く、ギャップに耐え切れず、早期離職や精神的に病んでしまう可能性もあります。

入社して合わなければ「すぐ辞めればいい」という意見もあります。それはそれでわかるのですが、景気が不安定になれば、いくら世の中が労働力不足とはいえ、自分が希望するようないい働き場所が都合よく見つかる可能性は低くなります。また、早期離職は市場価値が低くなりやすくなることは否めません。社会人初期のキャリア形成を安定して築くためにも、入社初期にどんな仕事をするか知ることは、重要なポイントだと思います。

また、その企業にどんな部署があって、どんな仕事をしているのかを知ることも重要でしょう。自分が興味ある部署に全社員のうち何割程度が配属されているのかを聞くことができれば、将来的に自分がやりたいと思える仕事につける可能性のリアルが見えてきます。

実際の仕事内容や、自分が思い描いていることへの実現性がどれくらいのものなのかは、無駄なミスマッチを防ぐためにも、仕事のいい面だけでなく、厳しい面も含めて、できる限りつかもうとすることをお勧めします。

「どんどん仕事を任せる」で引きつける

学生を誘うもうひとつの王道的手法が、「若いうちからどんどん仕事を任せられるので、成長できる!」ということをアピールするやり方です。

人生100年時代と言われる中で、終身雇用制度が崩壊しつつある今、将来的に自立できる力を求め、成長できる環境を求める学生はとても多いと思いますが、その学生の思いを利用して、「うちに入社すれば成長できる!」と口説くのです。

この手法をよく使うのは、人手が不足しているベンチャー企業や中小企業が多い傾向があります。そのような企業は人手が少ないので、任されることが多くあることも事実です。実際に責任ある仕事を若くから任せられる企業もあります。

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