一方、目の前に出てくる数々の雑務や、多くの人が嫌がる面倒な仕事を押し付けることを「何でも任される」と、都合よく変換している企業は少なくありません。
「入社しばらくは、計画的な修行期間として下働き中心」というのであれば、まだましかもしれませんが、修業期間の期限や育成計画も無く、将来、顧客に対して何の価値提供ができるような人材になることができるのか、まったく見えないような仕事を永遠に行うのであれば、成長の限界がすぐに来て、そして使い捨てにされてしまう可能性があります。
そのようなことにならないように、新卒で入った先輩社員たちが、入社3年後、5年後、10年後と、具体的にどんな仕事をしているか聞いてみましょう。要職についている社員が、中途社員ばかりであれば、その企業に新卒社員を育成できる力があるのか疑問がつきますので、注意が必要です。
また、先輩社員たちが、実際の仕事で、誰にどのような価値を提供しているのか。なぜ、その仕事が顧客や社内で必要とされているのかを、聞いてみることも有効な手段の1つだと思います。
先輩社員たちが実際に行っている仕事が、自身にとってあまり魅力的に感じなければ、その企業の中でできる成長と、自身が目指したい成長の方向性が、異なっているのかもしれません。
自分が、将来こうありたいという姿が、その企業の中で描いていけそうかどうかは、企業が発信する言葉だけでなく、実際にそこで働く新卒で入社した先輩社員の姿、仕事内容、提供している価値を、できる限り見て、把握してから判断しても遅くはないと思います。
魅力的な人を表に出して学生をだます企業も
ただ、「人」でだます企業も少なくありません。
学生への採用活動で表に出るのは、学生に受けるような容姿、雰囲気、語れる言葉を持つ、選ばれた人材であることがほとんどです。
実際に、選考中に会った人に憧れて入社してみたら「選考中に出会った憧れの対象となるような人は企業の中のごく一部しかいなかった」とか、ひどい場合には「選考で会った人は、まったく別の採用支援会社の人だった」ということもあります。
「もっと多くの社員に会わせてほしい」と要望しても、「社員も忙しいので、なかなか難しい」などと言われ、実際にどんな人たちが多く働いているのかを知ることができないまま、選考を終えること多くもあります。
これは、なかなか学生にとって悩ましい問題です。企業側が積極的に多くの人と会わせるという姿勢を持っていない限り、普通の選考の中で、実際に企業で働く人たちと多く接点を持つことは、なかなか難しいと思います。しかし、そこで一緒に働く人との相性は、その企業で長く働く要件として、とても重要な項目です。
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