EV電池に必須の「リチウム」の確保は大丈夫か

脱炭素のカギ握る資源をめぐる大問題

リチウムは鉱山や塩湖から採取されている。写真は豊田通商が参画するアルゼンチンのオラロス塩湖の開発プロジェクト(写真提供:豊田通商)
カーボンニュートラル(二酸化炭素排出の実質ゼロ)社会実現のカギを握るのが蓄電池である。特にリチウムイオン電池は電気自動車(EV)の普及によって爆発的に需要が伸びることは間違いない。そうなった場合に懸念されるのが、リチウムイオン電池に使用される資源の不足だ。
希少金属のコバルトは政治的に不安定なコンゴ民主共和国に偏在しているほか、採掘における児童労働といった問題を抱えることが知られている。ただし、最近はコバルトの使用量を減らした、もしくはコバルトを使わない電池の開発も進んでいる。
一方、リチウムは現時点でほぼ代替が利かない。ナトリウム電池などリチウムを使わない次世代電池の研究も進められてはいるが、実用のメドはまったく立っていない。リチウムの資源確保に問題はあるのか――リチウムなど金属資源の動向に詳しい独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の金属資源技術部生産技術課・大久保聡氏に聞いた。

リチウムの資源量は豊富にある

――EV向けなどリチウムの需要は拡大しています。資源が不足する心配はありませんか。

リチウムの埋蔵量は約1億1100万トン(炭酸リチウム換算、以下明記ないときは同様)とされており、現在の生産規模を前提にすれば200年以上分ある。銅などは数十年分なのでリチウムはかなり豊富にあるといえる。

今後の需要は何倍にも増えるだろうが、一方で埋蔵量にカウントされていないボリビアなどにも資源がある。ボリビアのリチウムはチリなどと組成が異なるため現状の技術では回収効率が悪く、政情不安の問題もあるためカウントされていない。それでも資源量そのものにはそれほど心配はいらない。

――近年の需給動向は逼迫していますか。

リチウムの年間生産量は2017年に約30万トンで、2018年が約40万トン。オーストラリアの鉱山が立ち上がったこともあり2019年には約45万トンと順調に拡大している。2020年はコロナもあって2019年とほぼ同じ水準だった。

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