中国の旺盛な需要を受け、ブラジルの大豆輸出が拡大している。ブラジル経済省の統計によれば、2020年4月の輸出量は1630万トンと前年同月の1.7倍以上に増加。3月に続いて単月輸出の最高記録を更新した。
ブラジル穀物輸出協会によれば、3月の輸出量1330万トンのうち中国向けが約4分の3を占めた。中国は主要穀物のなかで大豆の輸入依存度が高く、輸入大豆は主に食用油の原料や家畜の飼料に使われている。中国では2018年に始まったアフリカ豚コレラの流行が沈静化し、養豚農家の生産が回復していることが飼料需要を押し上げている。
一方、新型コロナウイルス流行の影響がブラジルでも懸念されているが、現地の増産意欲はなお高い。ブラジル大豆生産者協会の最新の予測によれば、ブラジルは2020年に1億2100万トンの大豆を収穫し、アメリカを抜いて世界最大の大豆生産国に躍り出る可能性がある。
ブラジルの輸出意欲の裏に通貨安とコロナ
「現地では大豆の収穫期が終わっており、生産者は輸出に前のめりだ」。中国農業農村省で大豆の国際需給を分析する専門家は、財新の取材にそう語った。アメリカ農務省は5月12日に発表したレポートで、2019年9月~2020年8月期のブラジルの大豆輸出量が前年同期より1000万トン近く多い8400万トンに達すると予想している。
ブラジルの生産者が輸出志向を強める背景には、通貨レアルの対ドルレートの下落がある。さらに新型コロナの流行による先行き不透明感から、生産者は物流停滞のリスクを懸念して売り急いでいるという。
そんななか、ブラジル政府と生産者団体はコロナ対策のために大豆の輸出を妨げないとの強い意思を表明している。「コロナの流行が始まった当初は一部の州の加工場や物流に混乱もあったが、政府と協力して問題を迅速に解決した」。ブラジル大豆生産者協会のバルトロメル・ブラス・ペレイラ会長は、財新の取材にそうコメントした。
(財新記者:黄姝倫)
※原文の配信は5月13日
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