田嶋陽子が斬る!「男手放しても職手放すな」 女性は今の時代をどう生き抜けばいいか

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「男手放しても職手放すな」という田嶋陽子さん。今の女性が自立して生きるためには何が必要なのか伺いました(撮影:尾形文繁)

1990年代、『ビートたけしのTVタックル』に出演していたフェミニストの大学教授、田嶋陽子氏を記憶にとどめている人は多いのではないか。番組には、ほかにも大学教授や作家などの知識人が出演していたが、彼女ほど目立っていた人はいないのではないか。それはもしかすると、正論を主張していたにもかかわらず、ほかの男性出演者たちから批判されていたからかもしれない。

今、その田嶋氏が再び注目されている。2019年に創刊されたフェミ雑誌『エトセトラ』が、11月に発売された第2号で1冊丸ごと田嶋陽子特集を組み、同時期に田嶋氏が1992年に出した『愛という名の支配』が2度目の文庫化されたことがきっかけだ。

こちらの本は、自身の母との確執を入り口に、夫婦の家事シェアや、ハイヒールの問題などを論じたエッセイ集である。時代を先取りしていた田嶋氏に改めて、今の女性が自立して生きるために何が必要なのか聞いた。

日本は男と女がセットで1人前

――今、30代の共働き世帯を中心に、夫婦間の家事シェアが問題になっています。

昔、イギリスに住んでいたときにつくづく思ったけど、向こうは一人ひとりが1人前なのに、日本は男と女がセットになってやっと1人前だから、個が弱いんですよ。日本の男は200%の力で会社で働くために支えてくれる女が必要で、女はタダ働きで家事をやるものだとしつけられてきた。だけど、今の30代の女の人は社会に出て働いているんでしょ。だったら自分のことは、自分でやってくれる男がいいですよね。

昔は「ヨメをもらうときは親を見ろ」と言ったものです。それは男の立場で言っていたけど、今は働く女性なら相手の親を見ないと。お母さんが専業主婦か、それとも働いていて、子どもに自分のことは自分でさせていたか。彼が「お前を愛しているから何でもするよ」と言っても、20年も母親に全部面倒をみてもらっていた男は、結婚したからってすぐには変わらないですよ。

――結婚当初は家事をシェアしていたのに、子どもが生まれると9対1で妻の負担が多くなる夫婦もいます。

それは男の人が子どもについて知識がないから。子どもが生まれるまでに、夫婦そろって乳幼児教育講座に通って基本的な教育を受けるべきで、行政はそういう取り組みをするべきですね。児童虐待がなぜ起こるかというと、1つには若い親たちが赤ん坊とはどういう存在なのか理解していないからです。今の人は、昔みたいに子どもの頃から子守をしていたわけじゃないのだから、おしめの替え方とかお風呂の入れ方とか、知らなくて当たり前ですよ。

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