「PDCAですべてを解決できる」は大きな幻想だ ホンダで神髄を掴んだ男が明かす問題解決法

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PDCAサイクルを生かした業務改善は有効ですが、万能ではありません(写真:たくかわ / PIXTA)
世の中にはさまざま問題解決ノウハウがあふれかえっているが、どんなにノウハウを学んでも結果を出せる人と出せない人に分かれてしまう。この違いはなんだろうか。ちまたではPDCAサイクルの重要性が叫ばれ、多くのビジネスマンや企業の管理職がこぞってPDCAを口にしている。PDCAとはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことで、業務をどんどん改善していく手法だ。
その風潮に警鐘を鳴らすのが、『HONDAの技術革新を支えた“超”目標達成法「9つの質問」』(産学社)の著者で、QC思考コンサルタントの小川泰史氏。ホンダが毎年開催する、問題解決のQC(クオリティコントロール)手法を用いて、会社や販売店の業務改善を報告するプレゼン大会のホンダフレッシュサークルで日本1位(国内四輪)を獲得し世界交流大会に出場した経験をもつ小川氏は、「単にPDCAに取り組むだけでは真の問題にたどり着かず、同じような問題を解決し続けるモグラたたきゲームを繰り返してしまう」と主張する。

PDCAには「ラストプロブレム」の検証要素がない

これは多くの方がすでに認知されていることと思いますが、問題解決にとっていちばん重要なことは、「それが本当に取り組むべきテーマであるか」「それが真の問題であるか」です。単純に困っていることや、直面している問題を痛みから逃れたいために取り組んでも、核となる真の問題を解決しないかぎり、また同じような問題を繰り返し、中長期的に得たい結果を得られない可能性があります。

つまり、表面的に問題が引き起こす痛みから逃れるだけではなく、会社または個人の得たい未来につながる問題であるかどうかを見極めることが重要です。それが究極の問題「ラストプロブレム」です。

PDCAをはじめ、多くの問題解決スキルに抜けているのは「ゼロの視点」です。どんなに高レベルな問題解決法、目標達成スキルでも、解決して意味の無い問題を解決しても、結果として何も変わりません。仮に「1」~「10」の問題を最速で解決・達成できても、「ゼロの視点」=そもそも何に取り組むべきかについては、なかなかカバーしてくれていません。

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