日本政府の緊急支援策、事業会社の格付けにプラスか?《スタンダード&プアーズの業界展望》


 Q4:海外ではどのような政府支援があるのか?格付け上どうみているのか?

米国の自動車業界では、既に決定した政府からの合計174億ドルの緊急融資に加え、2月にはGMとクライスラーが合計141億ドルの追加資金を要請した。スタンダード&プアーズは、これら2社が2009年のうちにデフォルトするリスクは依然として高いと見て、格付けはいずれも「ダブルC」としている。これらの政府支援は2社の延命には役立っているが、米自動車メーカーが直面している根本的な問題の解決にはなっていないため、格付けへの影響はほとんどない。仮に自動車メーカーのリストラ計画が3月末頃に承認されて追加資金が供給されても、世界景気の不透明な先行き、デルファイに追加支援をするリスク、クレジット市場の低迷、サプライヤーが倒産するリスクなどを考慮すると、2009年、2010年も引き続き高いデフォルトリスクにさらされるとみている。

フランスでは2月、政府がプジョーとルノーにそれぞれ30億ユーロの融資を実施すると発表した。この追加的な緊急融資がなかった場合、両社の自動車事業の流動性が格付けに対して十分な水準でなくなる可能性が高いとみており、結果的に、メーカーの救済を目的としたフランス政府の緊急融資は、当該企業の流動性にとって一定のプラス効果があると考えている。ただし、フランスのケースでも、政府の関与によってこれら自動車メーカーが直面する自動車市場の落ち込みや高コスト体質などの構造的問題が解決に向けて動き出したわけではない。むしろ、政府の支援が雇用の維持などを条件としているため、自動車市場の低迷が深刻化するなか、収益力の改善に必要な構造改革が妨げられ、中長期的なグローバル競争力の低下につながる可能性もはらんでいる。

Q5:外国政府の関与は日本メーカーにとって競争上不利に働くのか?

政府関与には、その政策によって海外メーカーに不利に働く可能性がある場合と、必ずしもそうでない場合が考えられる。自国産業の育成・保護を目的とした関税引き上げなどの措置は、そうした市場へ輸出するメーカーにとっては明らかに不利となる。たとえば、ロシア政府が今年1月から自動車の輸入関税を引き上げたため、現地生産をしていない輸出中心の日系自動車メーカーの販売は、市場の落ち込みに加えて、関税引き上げのダブルパンチを受けている。

一方、ドイツではスクラップ・ボーナスと呼ばれる、車齢の高い車から低燃費の新車への買い替えに対する消費者への補助金制度が新車販売促進に効果をあげており、ドイツの2月の新車販売台数は前年同月比で22%も増加した。ドイツの自動車メーカーに限らず、日系メーカーも恩恵を受けており、効果の持続性には不透明感があるものの、足元の販売は非常に好調である。これはメーカーへの直接的な支援ではなく、低迷する需要を刺激する間接的な支援策といえるが、自動車メーカーにとって大きな課題となっている環境対応を間接的に促し、各社の中長期的な競争力向上につながる可能性がある。また、日産自動車が、米国で環境対応車の開発などを支援する低利融資制度の活用を申請したと報じられたケースなども自国メーカーだけでなく、海外のメーカーでも政府支援のメリットを享受できる可能性がある。

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