究極のスーツを作る仕立屋の「秘密兵器」 一度に120カ所を正確に採寸

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香港の衣料品小売業界は昨年、中国からの訪問客減少の影響を大きく受けたが、ある店は注文仕立てとハイテクを融合したサービスで多くの注目を集めている。

これはまさに伝統とハイテクの融合だ。まずは体にピッタリとしたものを着用する。そして「ポッド」に入って指示に従う。

――ただそれだけで、ものの数分で正確に採寸できるのだ。

洋品店ゲイ・ジアーノは、数ヶ月かけ、ゆうに10万香港ドル以上費やして、この技術に磨きをかけた。それによって、洋服を仕立てることがまったく新しい体験に変わったのである。

「(仕立屋のような)伝統を重んじる職人と次世代技術が遮断されていることもあって、次の世代のなり手が出てこない。そうであれば、注文仕立てが廃れていくか、われわれがハイテクを使ってこの業界を再生するかのどちらかだと思った」と、ゲイ・ジアーノのビジネス開発ディレクター、マシュー・リー氏は話す。

仕立て業界を救えるか

香港の仕立屋は従来、完璧なスーツを作る技術をマスターするのに何年もの修行を積む。一般的に、一つの服を仕立てるのにだいたい25カ所ほどメジャーで寸法を図る。ところが、3Dの仕立て用スキャナーだと、14の赤外線センサーを使っていっぺんに120カ所の寸法が測れてしまう。もちろん、人間のように寸法を間違うこともない。

ゲイ・ジアーノの顧客、アラン・チャンはこう話す。

「私は従来型の店で仕立て用にサイズを測ったこともある。とてもパーソナルだったが、時間がかかった。3Dの方がもっときちんと、体のそれぞれの部分のサイズを測れるような気がする」

香港の仕立屋は、その品質とスピードで有名で、大統領や皇族などでもひいきにする人が多い。しかし、中国本土などからの格安衣料品の脅威にさらされる中、業界は衰退の一途をたどっている。

低賃金のため、若者がこの業界に入ってこないのも悩ましい。こうした中、3Dスキャナーのような最先端の技術は、香港の仕立屋の将来にはうってつけかもしれない。

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