山崎元氏、政府が打つ株価対策をズバリ予測 有効な手段は「消費税率引き上げ」の延期だ

✎ 1〜 ✎ 94 ✎ 95 ✎ 96 ✎ 最新
拡大
縮小

急激な原油安は、中長期的には特にエネルギー原料の輸入が多い日本経済にとって追い風のはずの要因だ。しかし、資源輸出に頼る新興国の金融財政の不安や、エネルギー開発プロジェクトへのファイナンスの焦げ付きなど、短期的には株価の下げ要因につながりうるリスクを含んでいる。

今年前半、株価が大きく下がる局面があるかも知れない。

「八百長もある競馬」のごとく

さて、今年出だしの何カ月かで、大きく株価が下がったとする。たとえば、日経平均が3月に現在よりも1割程度下がり、1万7000円を割るような事態になったとしたら何が起こるだろう。

デフレ脱却を目指して金融緩和政策を継続している政府・日銀は、政策目的に照らして「まずい」と思うだろう(そのこと自体は悪くない)。何よりも「経済」(は民主党政権よりもマシであること)を看板に7月の参議院選挙を戦いたい安倍政権としては、株価が昨年末(1万9033円)だけでなく、一昨年末(1万7450円)をも割り込んでいるのでは格好が付かない。

政府として株価のために出来ることがあれば、するのではないか。そう考えるのは自然だし、政府がどのような株価対策を繰り出すのかという「読み」が必要だ。これに関しては、国民として「株価対策自体が正しいか否か」を吟味することと、投資家として「何がありえるのか、効果がどの程度あるのか・ないのか」を考える、2つの次元での検討が必要だ。

日本の株式市場は、主催者でレースと馬券の監督者でもある政府が、結果を左右しようと介入し、「八百長もありますが、その可能性も込みで考えて賭けて下さい」と言っている競馬のごときゲームなのだ。知らない土地のいかがわしいローカル競馬に参戦するような気分になりませんか(ローカル競馬自体は、それなりに風情があって良いものだが…)。

もっとも、世界の資本市場にあって日本の株式市場は、JRAよりは地方競馬に近い「ローカル・マーケット」。参加者がこうした覚悟を持つこと自体は悪くない(筆者は、株式市場への政府の直接介入はないほうがいいと思っている。これは別の機会に議論したい)。

ギャンブラーは、可能性に想像力を巡らすべし!

次ページ居心地の良い組み入れ率
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT