急激な原油安は、中長期的には特にエネルギー原料の輸入が多い日本経済にとって追い風のはずの要因だ。しかし、資源輸出に頼る新興国の金融財政の不安や、エネルギー開発プロジェクトへのファイナンスの焦げ付きなど、短期的には株価の下げ要因につながりうるリスクを含んでいる。
今年前半、株価が大きく下がる局面があるかも知れない。
「八百長もある競馬」のごとく
さて、今年出だしの何カ月かで、大きく株価が下がったとする。たとえば、日経平均が3月に現在よりも1割程度下がり、1万7000円を割るような事態になったとしたら何が起こるだろう。
デフレ脱却を目指して金融緩和政策を継続している政府・日銀は、政策目的に照らして「まずい」と思うだろう(そのこと自体は悪くない)。何よりも「経済」(は民主党政権よりもマシであること)を看板に7月の参議院選挙を戦いたい安倍政権としては、株価が昨年末(1万9033円)だけでなく、一昨年末(1万7450円)をも割り込んでいるのでは格好が付かない。
政府として株価のために出来ることがあれば、するのではないか。そう考えるのは自然だし、政府がどのような株価対策を繰り出すのかという「読み」が必要だ。これに関しては、国民として「株価対策自体が正しいか否か」を吟味することと、投資家として「何がありえるのか、効果がどの程度あるのか・ないのか」を考える、2つの次元での検討が必要だ。
日本の株式市場は、主催者でレースと馬券の監督者でもある政府が、結果を左右しようと介入し、「八百長もありますが、その可能性も込みで考えて賭けて下さい」と言っている競馬のごときゲームなのだ。知らない土地のいかがわしいローカル競馬に参戦するような気分になりませんか(ローカル競馬自体は、それなりに風情があって良いものだが…)。
もっとも、世界の資本市場にあって日本の株式市場は、JRAよりは地方競馬に近い「ローカル・マーケット」。参加者がこうした覚悟を持つこと自体は悪くない(筆者は、株式市場への政府の直接介入はないほうがいいと思っている。これは別の機会に議論したい)。
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