江頭敏明・三井住友海上グループホールディングス社長--10年4月からシステム統合、投資削減効果は2~3年後

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--統合には強い内向きの力が必要になります。市場環境が厳しさを増す中で、内向きの力を使っている場合かという声もあります。

ご心配いただいてありがとうございます。しかし、営業現場にはそんな負荷はかかりません。本社の人間は大変ですが……。営業の第一線は今までと同じように健全に競争していく。グループ内とはいえ、別々の事業会社なので競争していきます。ちょっとでもスキを見せると、お客様からダメ出しをされますからね。10年前、三井海上と住友海上が合併したときも、合併前日まで真剣に勝負していましたよ。

--言わんとする意味はわかりますが、三井と住友の合併は希有な成功例なので、お手本にならないともいいますよ。

そんなことはありません。過去の成功体験があるので、それをベースにやっていけばいいのです。

--3社の単純合算で680億円のシステム投資を2~3割カットするとのことですが、時間軸は。

システムも10年4月までに統一できるところは統一するつもりです。機能別・分野別になるか、3社統合になるかわかりませんが、最終的な形になったとき、ランニングコストを2~3割は削減できるでしょう。せいぜい2~3年のうちには達成できると思います。5年も10年もかけるつもりは毛頭ありません。

--しかし、680億円はあくまで単純合算値。システムを統合するには相当な費用がかかりそうです。

システム開発の初期費用が発生するのは覚悟しています。ただ、まだどれだけかかるか聞いていないし、試算もしていないのではないかな。まだそこまで話し合いが進んでいるわけではありませんしね。

--では、システム開発費で、今後、膨大な費用が発生することもありえるということですか。

それは十分、ありえるでしょう。

--海外事業も統合の目玉の一つですね。ただ、3社の海外展開の戦略はまったく違います。どうやってシナジーを出すのですか。

海外も保険は免許事業です。免許がなければ保険事業はできません。たとえば、MSIは中国では上海と広州で営業できますが、天津には支店がありません。だが、あいおいが天津に支店を持っているので、MSIはもう天津に支店を出す必要はない。統合とはそういうことです。資金も節約できるし、その資金をほかの成長分野に投入もできる。海外事業では現地の保険事業も、日系企業向けも両方やります。日系のお客様のお守りだけをしていて、現地の保険会社だと認識してもらえなければ、本当のグローバルプレーヤーとは呼ばれませんからね。

えがしら・としあき
1972年慶應大学法学部卒、旧大正海上入社。97年社長室部長、01年旧三井海上、旧住友海上合併により三井住友海上執行役員。06年6月取締役社長・共同最高経営責任者等を経て08年4月より現職。

(筑紫祐二 =週刊東洋経済、写真:尾形文繁)

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