ウォーキングシューズの経験生かす アシックスが介護予防に参入
シューズに強いスポーツ用品大手、アシックスが高齢化社会に対応して介護予防用品事業に参入する。
アシックスは来2013年3月、歩くことで健康維持を目指すシューズ「ライフウォーカー」(上写真は女性用)を、介護予防用品事業の第1弾として発売する。対象となるユーザー層は、介護予備軍から軽度の要介護者までで、主に70歳代以上を想定。足裏全体を使ってしっかり接地しながら、着用者本人の着脱だけでなく、介護者など本人以外でも脱ぎ履きさせやすい構造になっているのが特長だ。
販路としては、介護事業者、百貨店、総合スーパー、靴専門店などを想定し、すでに受注活動を開始。ちなみに同社は自社製ウォーキングシューズの直営専門店「アシックスウォーキング」や「アシックス歩人館(一部FC店含む)」を全国で展開しているが、今のところこれら直営店では取り扱う予定がない。
今回の「ライフウォーカー」には、アシックスがこれまでウォーキングシューズやスポーツシューズで培ってきた知見が生かされ、歩きやすさと着脱性にこだわった商品設計になっているという。
歩きやすさについては、歩行時に靴がねじれないよう、ソール(靴底)の真ん中辺にトラスティック(樹脂製の板)を配置するとともに、つまづきにくくするために、つま先部分が丸みを帯びた形にするなどの工夫がなされている。また、筋力や脚力の衰えた高齢者は、靴の内股側に強い力がかかりやすく、逆に外股側には力がかかりにくいため、靴底の外股側では屈曲の溝を増やし、内股側では屈曲の溝を減らすことで、内股側と外股側にかかる力のバランスをうまく保てるようにしている。
スポーツ用品市場では、先進国を中心とした世界的な健康志向の盛り上がりから、ランニングやウォーキングシューズの需要が近年高まっている。アシックスも、ウォーキングシューズについては、30~40歳代を対象にした「ランウォーク(男性用)」「ジーロ(女性用)」、40~50歳代(一部60歳代も)を対象にした「pedala(ペダラ)」、さらには、それ以上の高齢者層を対象にした「歩歩楽WALKER(ぽぽらウォーカー)」などを展開してきた。
今回の「ライフウォーカー」は、こと歩く機能に関しては、「歩歩楽WALKER」に近い設計となっている。ただ、「歩歩楽WALKER」が高齢者向けとはいえ、自ら靴を脱ぎ履きできる健康なユーザーを想定しているのに対し、「ライフウォーカー」は、本人以外の介護者など第三者でも着脱しやすい構造になっているのが大きな違いだ。
来春発売後の初年度売り上げ目標は3億円。アシックスでは今後も、運動を通じた健康維持を目的とした介護予防関連の各種商品を開発し、順次展開していく予定だ。
(大滝 俊一 =東洋経済オンライン)
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