スマホは成熟した今だからこそ進化が必要だ

NuAns NEOは、最初の会議で方向が決まった

FeliCaは、リチウムポリマー電池の電極構造が生み出す微弱な磁界と干渉するため、カード収納部とバッテリの間を防磁しなければならないが、あらかじめ設計段階で組み込むことでシートを挟み込まずにカードを内蔵させることができる。

最終的なNEOのデザインでは、カードスペースの壁にスロープを付けることで出し入れを簡単にするといった工夫をしているが、実はこの機能はある”野望”があって採用したものだ。

NEOはNFC Type-Fに対応しているため、NFCアンテナの位置を工夫すればFeliCaカードとNEOの間で通信が可能となる。すなさちFeliCaカードを内蔵できるようにしておけば、少なくとも交通系カードの電子マネーや改札通過機能を使える上、カードから情報を読み書きできると考えたのだ。

実際にはFeliCaカードに何らかの書き込み処理を行うには、パソコン用のFeliCaリーダ/ライタ用アプリ「パソリ」に相当するアプリケーションを、Windows Phone上で開発しなければならない。現在の我々に、そこまでの開発はできないが、少なくとも読み書き可能な設計にしておけば、SuiCaの使用履歴読み出しのアプリケーションや、あわよくば”パソリ対応”も狙えるかもしれない。

自分たち自身でコントロール出来ない領域もあるため、野望はまだ野望のまま残っているのだが、最終的にモバイルSuiCa対応に一か八かで挑戦するよりも、実際にはおサイフケータイではなくカードで改札口を出入りしている人が多いことを考えて、ある時点でカード内蔵+NFCを通じたNEO本体と内蔵カードの通信機能というアイディアを提案する方向へとシフトして行った。

新しい”触感”、新しい”質感”を求めて

細かな機能の話が続いたが、まだデザイナー選定・依頼を行う前段階から、外装に関してユニークな製品にしたいと考えていた。

まずNEO開発の主体となっているトリニティが、iPhone/Xperia向けのアクセサリ製品を主業務にしていることが挙げられる。このため外装を工夫し、質感やデザインの面で差異化する技術に関して経験とノウハウがあった。

加えて、我々はつねに手でホールドしながら使う製品だけに、質感をもっとも敏感に感じる事ができる”手”とデバイスが触れる部分の触感に独自性を出したいとも考えた。近年は電機製品の急速な低価格化で、新しい生産技術や素材が陽の目を見にくくなっている面があるが、それでも自動車産業向けに技術を売り込んでいる企業がたくさんある。

もし、新しい触感、質感を得られるのであれば商品としての魅力を高めることができる。そこで素材、金型、生産技術に関して協力をい仰いだのが「K's Design Lab.」である。

彼らは大胆と言えるほど立体的な表層部を実現する金型のデザイン技術ノウハウを持つ企業で、トリニティとは「次元」シリーズというiPhoneケースで協業したことがあった。次元シリーズでは、天然素材を3Dスキャンし、それを金型に反映。実際に射出成型できる金型に落とし込んでいる。

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