スマホは成熟した今だからこそ進化が必要だ NuAns NEOは、最初の会議で方向が決まった
細かいことだが、通話・通信に使う対応周波数は、グローバルで広く使われている”エコバンド(投資効率の良い経済的な周波数帯)”だけでなく、日本のキャリアが使う周波数に合わせたものであることが望ましい。無理のない範囲で対応周波数帯も多くしておきたい。
他にも例を挙げればキリがないが、電話機として、スマートフォンを使う上で、そうあるべきという部分は、コストが積み上がったとして対応するべきと考えたのだ。
もちろん、前述したようにキャリアの販売支援なしにSIMフリー機として8万円のスマートフォンを流通させる……というのも無謀だ。どこかで線引きは必要だが、派手な機能や性能をうたえる部分以外のところで、しっかりと作り込もうということだ。
一般に量産の工業製品を作る際には、どんな細かなコストも可能な限り抑えて限界費用を下げようとする。最終的にその細かなコストダウンが利益につながるが、我々が想定している出荷数は大手メーカーの開発する端末よりも、おそらく2桁ほど少ない。
商品としての価値を高めて、まずは関心を持ってもらい、関心をもって買ってくれた顧客に対しては、使用し始めてはじめて”良かった”と感じてもらえるよう手抜きをしないことで満足してもらう。限界費用を下げて収益性を追求するよりも、多少コストをかけてでも”あるべき機能はあるべきままに”作るべきだと考えたからだ。
一方、難しいと思いながらも、なんとか解決策がないか?と手探りで解決策を探した特徴的な機能もある。FeliCa技術を用いたおサイフケータイ機能の検討だ。このテーマは”絶対に不可能”と”努力次第で対応可能”の中間にあると考えていた。
”できないこと”に対する別角度からの取り組み
おサイフケータイに使われているFeliCaという技術は、NFC Type-Fとして通信部分が標準化されている。このため、FeliCaの通信機能を搭載するスマートフォンを作ることは難しくない。対応するLSIを選べばいいだけだ。
ただし、NFC Type-Fに対応するだけでは、おサイフケータイは実現できない。中でもSuiCaへの対応は極めてハードルが高い。詳細はここでは触れないが、ソフトウェア、ハードウェアの両面で作り込みが必要となる。
加えて実際におサイフケータイに対応出来るハードウェアを作ったとしても、おサイフケータイへの対応実績がないWindows Phone向けにアプリケーションを作る必要がある。この点はフェリカネットワークスやマイクロソフトとも、かなり膝を詰めて話をした部分だった。
”本当に不可能だろうか?”と検討や話し合いを進める一方、おサイフケータイをWindows Phoneで実現する以外に、何か解決方法がないだろうか?と並行してアイディアを出し合っていた。そこで考えたのが、現在のNEOで採用されている”交通系ICカードを本体内に収納できるよう設計する”というものだった。
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