TKO木本、歴代首相の実像を御厨先生に学ぶ 「橋本龍太郎さんの功績は大きかった」

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御厨:宮澤さんはさらに自民党が落ち目の時で、打つ手打つ手がうまくいかなくて、最後は国民から嘘つきとされて……。保守本流と言われた彼の時に自民は政権から転げ落ちた。

木本:すごい人のイメージだったのに、いざ首相になったらボコボコにされましたよね。

御厨:能力は間違いなく高い。大臣を歴任し、それぞれの省で評価される仕事をしています。だけど総理大臣としてはいかんせんダメだった。

木本:それはどの辺りがポイントだったんでしょう?

御厨:当時の新聞記者によると、政党がどうやって法案を通して、国会を回すのかをホントに知らなかった。田中派が全部やっていてね。金丸信が説明したら、宮澤が仰天して「政治ってこんなものなのか」と驚いた。それを金丸がもっと驚いたらしい。政策は知っていても、政局を知らなかった。総理大臣はどっちかが欠けているとダメ。少なくとも政局はある程度できないと。

木本:政策だけの人だったと。じゃあ、先生の思うこの首相すごいというのは?

御厨:誰も言いませんが、橋本龍太郎はすごかったと思っています。

木本:そうなんですか、それは意外です。

橋本さんはすごい首相だった

御厨貴(みくりや たかし)/1951年東京都生まれ。東京大学法学部卒。政治史、政治学者として、政治家の生の声を記録するオーラル・ヒストリーの第一人者として活躍。東日本大震災復興構想会議では議長代理を勤める。『時事放談』(TBS系)にも出演中。1997年『馬場恒吾の面目』で吉野作造賞を受賞するなど、著書編書多数。東京大学名誉教授

御厨:彼は首相として「行政改革をやりたい」と言って、財政など6つの改革を打ち上げました。早くに参議院選で敗れて総理をクビになったけど、彼がやろうとした省庁合併というのは21世紀になってやれたわけです。

木本:発言が芝居掛かっていたイメージがあります(笑)。

御厨:省庁合併があって、行政の合理化といういちばんおいしいところを小泉さんが取ってしまった。可哀想でしたね。

木本:「織田がこね羽柴がつきし天下餅」の落首みたいな感じですね。

御厨:橋本さんがすごいのは、総理大臣に何ができるか着目した点。その彼が怒ったのは、各省からご進講と称して、官僚たちが事前にレクチャーに来た時です。

木本:何に対してそんなに怒ったんでしょうか?

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