安保反対「SEALDs」、あの後に続く模索 デモから3カ月

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国会議事堂前で、安保関連法制反対を訴えるSEALDsのメンバー。ドラムのリズムに乗って「民主主義って何だ」が連呼された(撮影/写真部・加藤夏子)
2015年の夏、民主主義を自分たちの手に取り戻そうと奮闘した「SEALDs」。あの熱気が去ったいま、私たちは「これから」に向け、どう行動すべきなのか。

 

SEALDs(シールズ)のコールが消えて、3カ月が経った。いま、国会前にあの熱気はない。季節は巡り、彼らに続く民主主義の模索が始まっている。

社会活動家の湯浅誠(46)は、かつての自分を重ねながらSEALDsを見つめていた。東京・渋谷の街頭でホームレス支援をしながら、貧困や格差を生み出すこの社会はおかしい、と訴えてきた。リーマン・ショックが起き、年越し派遣村が注目を集めるようになると、その声が政府に届く。民主党政権では、内閣府参与に迎えられた。しかし、湯浅はある種の挫折感とともに職を辞した。

「『貧困問題という現実がある』と主張して、共感が広がっているときにはわからなかったことがあった。100万人の支持が集まればすごいことだが、逆の見方をすれば人口の1%でしかない」

政治と日常をつなぐ

社会運動には問題の理解度などに応じたステージがあり、魅力的なスローガンで支持を集めるデモは最初のステップに過ぎない。スローガンを政策などの形にまとめるのが次の段階。そこで共感を広げるには、高い壁があると実感した。

「『俺は気にいらない』と誰でも主張できることが民主主義の根幹。同時に、仲間ではない人たちに協力してもらうために対話が必要なときもある。中間にいる多数派の賛同を得ることで、政策は動いていく」(湯浅)

若者と政治の距離を縮める活動をする、NPO法人「YouthCreate(ユースクリエイト)」代表の原田謙介(29)は、デモに踏み出せなかった学生たちのことを思う。戦争は嫌だが、安保関連法制によって必ず戦争に行くことになるのか。東アジア情勢に目を向けたとき、どう考えるべきか。割り切れない問いを続け、立ちすくんでいた学生たちだ。

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