韓国企業は「身を切るリストラ」を迫られる 2016年は「緊縮経営」と「構造調整」の年
韓国開発研究院(KDI)のキム・ジュンギョン院長は、果敢な構造調整が必要だと強調する。キム院長は「営業利益で利子負担をまかなえないゾンビ企業の比率が産業全体の15%に達する。特に造船、鉄鋼、海運を中心として3年連続赤字のゾンビ企業が増えており、状況は厳しい」と言う。
一方で、リスクに備えて事前に構造調整を行っている企業として、サムスングループを選んだ。「サムスンは化学部門を売却し、バイオ事業に進出するなど構造調整を活発に行っている。ただ、問題はそうできない企業があることで、そんな企業は資産売却など苦痛を伴う構造調整が必要だろう」と説明する。
政府の構造調整圧力に対し、反対の意見もある。基準が不透明であり、定量化されていない部分では主観的な評価が介入する余地が大きいというものだ。一度C等級を受けた企業は経営に大きな打撃となり、そのマイナスイメージを取り戻すことも簡単ではない。公平さに対する批判を回避するため、企業評価基準を明確に公開し、一部企業については再評価を受け、弁明できるような制度を用意する必要がある。
ゾンビ企業の退出を進めるべき
これについて韓国政府は、現在でも評価過程において対象企業が弁明できる機会があると主張する。しかし実際には、いったん結果が出てしまうと異議を唱えることは難しい。現在は中間審査の段階でのみ弁明する機会があるが、それでは不十分だという指摘だ。等級を公開した後でも、弁明や異議を唱えることができてこそ、政府が構造調整を円滑に進めることができる。
ハナ金融経営研究所企業金融チーム長のパク・ギホン氏は、「C等級=経営正常化が可能、と判断された企業だが、いったんその等級が市場に広まると債権団が資金回収に動く。こうなるとドミノ式に資金回収が重なり、正常な企業さえ耐えられない」と指摘する。市場では、すでにC等級=経営悪化企業という烙印を押されてしまうのだ。
政府は2016年内に構造調整を強行する計画であることがはっきりしている。整理されるべき企業が残っていれば、経済に否定的な影響を与えると判断しているためだ。2000年代の初頭、全企業数に対する起業した企業が占める割合と、それに対する廃業した企業の割合はそれぞれ20%だったが、2015年のそれは5~10%にまで下がった。政府関係者は「収益性が確保できず金融支援で延命しているゾンビ企業は、自ら経営再建案を提示できなければ市場の原則による構造調整を行うほかないというのが政府の立場」と述べた。
(韓国『中央日報エコノミスト』2016年1月4日号)
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