北朝鮮、36年ぶりの党大会で何が起きるのか 「経済」と「核」の並進路線は厳しい
しかし、結論から言えば、北朝鮮の経済事情は党大会を開催できるほどの水準に達したと見るには厳しい。
韓国銀行が推計した北朝鮮の経済成長率は、2011年にようやく0.8%のプラス成長へ転じた後、2012年に1.3%、2013年に1.1%、2014年には1%と、かろうじてマイナス成長を免れている程度。韓国開発研究院のイ・ソク研究委員は「現在の北朝鮮経済は、1990年代の厳しい経済危機のような状態にあるとはいえないが、これまでと比べて特によくなったとは言いがたい」と見る。
中長期的な経済計画や、ビジョンを提示するほどの力もまだない。北朝鮮は1993年12月に朝鮮労働党第6期21回全員会議において、第3次7カ年計画(1987~1993年)が目標に達しなかったことを認めた。これにより、1994年から1996年までの3年間を「社会主義経済建設の緩衝期」と設定し、農業や軽工業、貿易第一主義を経済開発の戦略的方針として提示した。
だが、社会主義の非効率性に大水害といった自然災害まで重なり、その後の経済計画については沈黙を続けてきた。このような経緯を考えると、経済に対し画期的で肯定的な要素が現れたとは思えないというのが、政府当局者と北朝鮮経済の専門家らは指摘する。
それでも第7回党大会で北朝鮮が新たな政策路線や経済計画を提示する可能性はある。経済分野で注目すべき成果はなかったが、新たなビジョンを提示する姿勢は示すことができるためだ。一部では、改革・開放路線を提示したり、核開発の放棄と関連した重大な措置が出てくるのではないかとの予測が出ている。
しかし、金第1書記のこれまでの足跡を見ると、コペルニクス的転換を期待するのは難しい。政権を担って2年目となった2013年3月に「経済と核開発の並進路線」を提示したが、これから離れるような変化を金第1書記が示すことはできないだろうという見方だ。
経済と核開発の並進路線は通用するか
経済と核開発の並進路線とは、核開発を完成させることで通常兵器にかかる軍事費を減らすことができ、そのぶんの資源を民生経済に回すという論理だ。だが、その北朝鮮自らが、予算に占める国防費の割合が16.0%(2013年)と発表。実際には、秘匿した予算を考えると30%程度と見られている。翌2014年にはわずか0.1%減の15.9%だ。北朝鮮の公式資料を見ても、並進路線の効果は微々たるものだということがわかる。
専門家は、このままでは故・金日成主席が1962年12月の党全員会議で採択した「経済・国防の並進路線」と同じ結果しか生み出さないという指摘もある。北朝鮮が保有する核には、韓国や米国だけでなく、中国まで反対の立場を明らかにしており、金正恩政権にとっては相当な負担となるだろう。
米国をはじめ国際社会が、金正恩政権の資金の流れを執拗に追跡するなど、彼らの資金源を遮断することに注力しているが、これも北朝鮮経済に直撃弾となるだろう。米国はすでに、海外での北朝鮮の外貨稼ぎルートを相当把握していることがわかっている。