外資ファンドが名乗り ルネサス再生への勝算
外圧で抜本リストラ
慢性的な赤字に苦しむルネサスだが、車載用マイコンでは世界シェア4割を握る。ルネサスの工場が止まった東日本大震災の直後、日本の大手自動車メーカーは軒並み減産を強いられた。当初、ルネサスへの資金援助を渋った大株主が最終的に応じたのも、「自動車メーカーなどへの供給責任があって潰せなかった」(大株主1社の首脳)からだ。それだけ強い製品を持つだけに、「不採算製品からの撤退や工場・人員のリストラを完遂すれば再生は可能」(国内半導体メーカー元首脳)。が、しがらみを引きずる従来の経営陣はそれができなかった。
KKRという「外圧」によって経営改革が進めば、ルネサスの再建可能性が高まる──。このニュースが報じられた8月29日、ルネサス株はストップ高となる308円(前日比80円上昇)となった。
専門家には「8000億円超の売上高と高いシェア、再生のやりやすさを考えたら1000億円は安い」(米調査会社IHSアイサプライの南川明主席アナリスト)との見方もあれば、「想定外の事態が短期間のうちに起きる半導体企業を投資ファンドが再生するのは簡単でない」(みずほ証券の寺澤聡子クレジットアナリスト)との懸念の声もある。
もっとも、交渉自体は継続中。KKRの出資が実現したとしても、ルネサスに厳しいリストラが待っていることは間違いない。
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(長谷川高宏 =週刊東洋経済2012年9月8日号)
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