キリンブランドで世界制覇するつもりはない キリンホールディングス社長 三宅占二

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国内統括新会社のため事業会社トップを一新

人事の発表時には公言できなかったが、今回発表した国内を統括する中間持ち株会社のキリン株式会社新設構想は以前からあった。キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの各事業会社がキリン株式会社の傘下に入ることで、事業会社を超えた大胆な資源配分が国内で可能となり、お客様の飲料に対する総合的なニーズに応えられる組織が実現できる。もちろん、販売現場やマーケティングの手法でビール、清涼飲料、ワインに違いはあるので、すべてを統括する必要はないが、大枠は国内で一つにまとめていきたい。

今までも事業会社を超えたコスト削減などに努めてきたが、やはり総合的な資源配分などには限界があった。13年にはこの課題に手をつけようと、私は腹をくくっていた。幹部も皆覚悟した。そして、キリンビールの社長には今回発表した国内の統括会社社長を兼任してもらうことも、私の中では決めていた。

それができるのは、現キリンビール社長の磯崎功典氏だと確信していた。彼は、多彩なキャリアを持っている。経営企画部で事業間の資源配分やポートフォリオの見直しをすでに経験している。一方で営業、海外駐在、子会社の立て直し経験もある。4月の人事は磯崎をキリン株式会社のトップにするために必要だったということだ。構造改革の詳しい内容を社内外には今まで言っていなかったので、今回8月の早い段階に発表し、社内外への説明時間をしっかり取れるようにした。

今後は、商品ブランドを育てるのが各事業会社の仕事、その商品ブランドづくりにキリンとしての横串を入れるのがキリン株式会社の仕事。商品ブランドが育つことで、キリンの企業ブランドを伸ばしたい。

──今中計はほぼ未達成です。10月発表予定の最終中計で「KV2015」の数字を変える可能性は。

ないとは断言できない。「KV2015」では最終的に売上高3兆円、営業利益率10%以上など定量目標があるが、06年につくったものだ。当時はまだ豪州のM&A話が出たばかり。今のキリングループは当時からすれば、かなりグローバル化している。次の中計は仕上げの中計で、そこで決めた考え方や定量目標が「KV2015」の結果となる。さまざまな指標で乖離しているところもあるだろうが、それは環境変化やブランド力の低下によるもので、やむをえない。なので、次の中計を06年に決めた定量目標に合わせていくのは無意味だと思っている。

 

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