キリンブランドで世界制覇するつもりはない キリンホールディングス社長 三宅占二
──国内では小売りのPB(自主企画)商品の勢いが増しています。
ビール類で、PB商品が存在感を増しているとは感じていない。新ジャンルの1割、ビール全体で4%程度だ。飲料全体では確かにPB商品のニーズがあり、小売り側の戦略が成功している。だが、われわれがどうPB商品を押さえ込めるかを考えたところで意味はない。どうすれば一線を画したNB(ナショナルブランド)商品ができるかを考えていきたい。キリンビールもビバレッジもPB商品はやらない方針である以上、NB商品をブラッシュアップして、価値のある新商品をつくっていくことが大事。小売りとの関係も、われわれがPB商品に協力するかどうかではなくて、商品力や提案力で信頼できるパートナーとして認めてもらえるかが重要だ。
──今後の海外戦略は。
ブラジルでの大型M&Aが終わったとはいえ、今後何もないわけではない。東南アジアには興味がある。
ただ、メインは買収してきた豪州とブラジルの事業を育てていくこと。ブラジルのスキンカリオールは、今までファミリー経営での無駄なコストや一貫性のなさが予想どおりかなりあった。一方で営業力も想像以上にあった。日本では量販店の選別はできないが、ブラジルでは「こちらには売るが、こちらには売らない」といった選別が見事にできている。今後は、人口が集中する南部のサンパウロやリオの攻め方も考えていく。
海外牽引役は豪州に 最大市場中国は様子見
豪州も回復してきている。牛乳などの乳飲料はPB商品に押されて依然厳しいが、ビールはステラアルトワ、ヒューガルデン、コロナが新たに加わった。ボリュームでも利益でも今後は貢献する。利益貢献のメインは豪州になっていくだろう。