外国製の鉄道が日本で普及しない2つの理由 日本市場参入のハードルはこんな所にあった

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膠着状態を打開したのが、2013年から日本がEUと進めている経済連携交渉(EPA)だ。日本が自動車への関税の引き下げをEUに要求する一方、EUは農産物や加工品、そして鉄道産業の市場開放を日本に求めている。

EPA交渉の進展に伴い、昨年10月、EUがJR上場3社のリストからの除外をWTOに通報し、除外が認められた。3社が外国の優れた技術やサービスを積極的に調達する方針を打ち出し、それを評価したからだとされる。逆に、JR三島会社(北海道、四国、九州)と東京メトロについては、例外規定を削除して国際入札を義務づける方針だ。

こうした経緯を踏まえ、さっそくJR東日本は八戸線用気動車18両や新潟・秋田地区を走る電気式気動車63両を国際入札で調達すると発表した。「世界中の優れた企業との接点を増やしていきたい」(JR東日本)。

調達方針としては、高品質で安価というだけでなく、「通常の保守に加え、初期故障や不具合時における迅速かつ十分なアフターケアを重視」と明記する念の入れようだ。

それでも高い"二人三脚"のハードル

仏アルストムなど"ビッグスリー"でも日本参入のハードルは高い

新規参入する海外メーカーがこの内容で採算を取れるのかという問題はあるが、何より業界で波紋を呼んだのは、調達概要書に記載された「走行可能な状態で納入する」という一文である。

海外製の車両が日本国内で走行可能かどうかは、実際に走らせてみないとわからない。何か不具合が発生すればメーカー側が対応しなければならないが、十分なサポート体制を構築するには数年単位の時間を要する。「メーカーが走行に無限責任を負うのでは、海外メーカーの入札は厳しい」(海外案件に詳しい鉄道コンサルタント)。

日本では、鉄道会社とメーカーが二人三脚で技術開発を進めてきた。それはアフターサービスでも同様のことがいえる。これが日本の鉄道の安全性を支えてきたわけだ。海外メーカーの日本進出に当たっては、この“二人三脚”が障害となる。彼らがハードルを乗り越えるには時間がかかりそうだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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