アメリカ経済は復活するのか “日本化”で低成長期に移行?

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また、世界の中央銀行が人為的に低金利政策と量的緩和政策を続けることによって、政府のファイナンスを助けていることの問題点を指摘する向きもある。国債に資金が流入し続けることで、民間のリスク資産への資金配分が阻害される「金融抑圧(ファイナンシャル・リプレッション)」のために、経済成長をさらに低いものにするという議論が米国で活発だ。

長期の潜在成長率を考える場合、労働力、資本ストックの伸びとともに重要なのは、全要素生産性の伸びであり、そのほとんどは技術革新によるとされる。

タイラー・コーエン著『大停滞』のように、先進国では雇用や所得の増加をもたらすような技術革新が停滞している、という指摘も出ている。

「金融危機の以前に、投資対象の主流がテクノロジーから住宅に変わってきたことで、以前ほど大きな成長ができなくなった」(HSBCのチーフエコノミストであるスティーブン・キング氏)という見方だ。

イノベーションが枯渇しているのかどうかについても、見解は分かれる。ITの発展が今後、どんな成果をもたらすのかが一つのポイントとして注目されている。

慶応義塾大学の池尾和人教授は、「IT以外にもバイオテクノロジーやナノテクノロジーといった可能性はあるが、現在のところ、経済成長を有意に引き上げるレベルには至っていない。30年ごろには、具体的な成果につながってくる可能性は大きい」としている。

(大崎明子 =週刊東洋経済2012年8月25日特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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