図表1を見ると、女性採用者比率の高いグループの財務レバレッジの平均値は、女性採用者比率の低いグループに比べて14.8%低いことがわかる。ただし、この差は明確な違いとは言えないレベルである。
専門的な言い方をすれば、この差は統計的に有意な差ではない。一方、女性従業員比率の高いグループは低いグループと比較して、財務レバレッジが3.4%高い。同様に、女性管理職比率の高いグループでは、6.4%高くなっている。これらの結果についても、統計的に有意な差とは言えないが、図表1の分析結果は、おおむね海外の研究とは異なる傾向を示すものである。
この理由としては、「メインバンクからの融資が多いこと」などわが国特有の要因が考えられる。ただ、正しく結果を解明するためにはさらなる詳細な分析が必要となる。
図表1 女性従業員の活躍と財務レバレッジの関係
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日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社 社会システム研究所CSR調査室アナリスト。東京理科大学理学部応用数学科(現数理情報科学科)を卒業後、2001年日興證券(現SMBC日興証券)入社、同年日興リサーチセンター(現日興フィナンシャル・インテリジェンス)出向。10年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。現在は、ESGの情報を用いた定量分析や、企業のCSR報告書等での情報開示に関する支援などに従事。著作に週刊東洋経済臨時増刊環境・CSR2008「環境投資は生産性を高めるか」(東洋経済新報社)など。
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