野村ホールディングスの険しい前途、トップ交代で再生なるか

野村ホールディングスの険しい前途、トップ交代で再生なるか

野村証券社員が企業の公募増資情報を顧客の投資家に漏らし、インサイダー取引が行われた問題で、証券取引等監視委員会は7月31日、野村証券に行政処分を科すよう金融庁に勧告した。金融庁は近く業務改善命令を出す。

行政上の決着はつきそうだが、これをもってすべて「幕切れ」とできるほど、野村の先行きは楽観できない。主幹事証券の立場を悪用した不祥事の発生を見過ごしてきた同社の改革は緒に就いたばかりだ。

監視委の勧告に先立つ7月26日、野村ホールディングス(HD)が打ち出したのは経営陣の刷新だった。渡部賢一グループCEO、柴田拓美グループCOOの二人の代表執行役が退任。渡部・柴田体制を支えてきた役員陣の多くも退任、あるいは降格した。代わって、傘下の野村証券社長の永井浩二氏がグループCEOを兼任、野村HD専務だった吉川淳氏がグループCOOに就任した。

「会社を根底から作り替える」

永井氏がトップ就任とともに社内外に発した言葉だ。これは崖っ縁に立っているという認識を吐露したといっていい。実際、野村の足場は危うい。

公的資金に頼れない野村

2008年のリーマンショック以後、主要国の金融監督当局が作り上げてきた新たな金融規制の枠組みの一つが「G−SIFIs」だ。経営危機に陥るとその影響がグローバルな金融システムに及ぶおそれのある国際的な巨大金融機関をG−SIFIsと認定し、より厳しい規制を課すことで合意している。

これに該当する欧米の投資銀行は、経営悪化も加わって次々に銀行持ち株会社へと経営形態を移行した。「銀行持ち株会社であれば、中央銀行からの流動性供給も、あるいは政府からの公的資本注入も得られるが、証券会社ではいずれも道は閉ざされている」(当局者)からだった。

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