野村ホールディングスの険しい前途、トップ交代で再生なるか
時間との闘いに
永井新CEO率いる野村HDの船出は厳しいものとなった。
経営陣の刷新と同日に発表した12年4~6月期(第1四半期)決算は税引前利益196億円となった。だが、その他利益(野村土地建物などの連結利益)を除いた証券本業の利益はわずか26億円にすぎない。その主因は、海外の構造的な赤字を穴埋めしてきた国内営業の収益力悪化にある。
この事態が第2四半期、第3四半期と長引くことが濃厚となれば、「もう一段の格下げ→資金調達難」が現実味を帯びてくる。厚い内部留保で当面は持ちこたえられるとしても、市場や監督当局の懸念は間違いなく増す。社員の間にも動揺が広がり、人材流出が起きる可能性がある。最終的にはシステミックリスクを防止するため、メガバンクの傘下に入るということにもなりかねない。
現に、国際戦略の修正や増資インサイダー問題の自主的な解決が遅々として進まない野村の動きを見て、「野村統合」の夢を膨らませるメガバンクがあったほか、一部の外資系投資銀行も並々ならぬ関心を寄せ始めていた。
もし、今後も単独生き残りの路線を維持したいのであれば、新経営陣はスピード感のある海外戦略の抜本的な見直しをもって、その意思を示すしかない。国内トップの独立系証券の孤独な“時間との闘い”が始まっている。
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(本誌:浪川 攻 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年8月11-18日合併特大号)
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