日本最大のITイベントで語られた、ITベンチャーのホンネ インフィニティ・ベンチャーズ・サミット

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もしくは、なかなかその今育成というものにリソースとか、視点を振り向ける何らかの阻害要因があって、それがちょっとリスクテイクできない、もしくは、選択できないところがあるのかっていうところをですね、育成も重要だっていう、いわゆる耳当たりのいい答えでなくて、本音ベースのところで、どうなんでしょうっていう、その、ここにいる非常にたくさんのスタッフを抱えられて、かつそのエンジニアはかなり重要なポジションを占める企業の経営者の方がそろってますので、そこのところをぜひストレートな意見を、お聞きできればと思うんですけれども。

藤田 はい。ありがとうございます。では、サーバーサイド・エンジニア出身の守安さんから。

守安 僕もエンジニア出身で、新卒でオラクルという会社に入って、半年間研修させてもらったんですね。それがすごい役に、自分としても、それが役に立ったっていうのがあるんで、研修っていうか育成自体がすごい、特にエンジニアに関していうと、教えればそれだけ吸収するので重要だと思っています。

なので、うちも新卒でとった大体半分ぐらいをエンジニアにして、エンジニアの経験があるかないかにかかわらずエンジニアにしていて。ただ期間に関しては、僕は半年間だったんですけど、多分自分の能力でいうと3カ月で十分できたと思っているので、基本的には最短、最長半年なんですけども、その人の能力だとか、進捗に合わせて、ある一定のラインを超えた人間から配属する、というようなことをしてですね。そうすると、競争意識を持ってもらえるんで、最長半年なんですけども、どんどんできるやつは1カ月とか2カ月とかで、最前線に送り込むっていうことをしています。

もう1つが、エンジニアを育てるということで、エンジニアの経験を積ませるっていうことは、ビジネス側に持ってくるときに非常に有意義なので、社内の中で1年、2年営業とか企画をやらした人間に、エンジニアのほうにいわゆる職種を変えさせて、そいつを新卒と同じように、半年間ぐらい研修させるっていうこともやっていますので、うちはかなりエンジニアに対しては育成っていうことをやっています。

藤田 10分、15分はみ出しても良いとの許可をいただきましたので、勝手ながら延長させていただきます。あと、何かありましたか? ではそちらの方。

■どうやってモチベーションをコントロールするのか?

質問者2 本日はありがとうございます。僕はですね、会社を始めてまだ1年経たないぐらいの新米の起業家なんですけども。

会社を始めてすごく思ったんですけども、たとえば結構頻繁なスパンでですね、たとえばそのファイナンス的にその口座の中のおカネがガンガン減ってったりとか、たとえば組織的に採用があるとか、そういうとこのトラブルだとか、頻繁にその浮き沈みっていうのがすごくあるっていうのを、最近よく思っているんです。

そういうなんですかね、会社を経営していく中での、メンタリティとして、たとえばちょっと落ちてしまったとき、会社の中の人間のために相談できないとは思うんですけども、そういうところの乗り越え方っていうか、コツみたいなのをお聞かせいただきたいなと思いますけど、よろしいでしょうか? 

藤田 はい。じゃあ数々の苦難を乗り切った熊谷さんからどうぞ。

熊谷 質問者2さん、あなたは自分が目指す方向を何か書いてますか? 

質問者2 書いてはいないです。

熊谷 まずですね、どこ目指しているのかとか、いうことをきちんと書いて、便所に張る、ベッドの上に張る、手帳に書く、PCのデスクトップに貼り付けておく。人はそうやって、目指しているところを絶えず目に触れて、自覚してないと、都合のいいほうに、楽なほうに流れていっちゃうんですよ。

まず書いて張っとく。これ、変な話ですけど、たとえば、僕尊敬する経営者の方みんなそういうことをされてますね。泰蔵さんのお兄さんの孫正義さんのお部屋に行ったときには、ビル・ゲイツの写真があったりとか、きっとあれ絶対いつか乗り越えてやるとか、思われてるんですね、そうですよね。

たとえば、三木谷さんのベッドの上には、自分が追い越したい会社の社名が張ってあって、追い越すと赤線で消していくという(一同笑い)。これは噂です(一同笑い)。とか、そういうのがあるんです。書いて張っておくのはすごく大事、これがまず1点目。

それから、モチベーションは、他人にコントロールしてもらうものじゃなくて、自分でコントロールするものです。僕もかつて400億円ぐらい損して会社潰しそうになったことがありますけど。そのとき、1回だけ自殺したい夢を見たんですけど、一家心中した夢を見たんですけど。でも、全身汗だくで、目が覚めてシャワー浴びたら、俺はもう1回死んだから絶対もうすべて生まれ変わったんだと。

誰も相談する人いないじゃないですか。自分自身でモチベーションを上げるしかないですね。そのためには、書いて張っておいて、自分が目指しているところを再確認することはすごく大事なんで。

書く。絶対あきらめない。自分自身で自分を上げる。これしかないですね。加えていうんだったら、意志の強さは体力と比例するんで。だからやっぱり運動して、体力つけて、よく寝ると、そうすると、すっきりしてモチベーションを上げることができて、これはすごくいいと思います。以上、ご質問の回答になりましたでしょうか。

質問者2 ありがとうございます。すごい参考になりました。

藤田 では、最後に1つ。ではそちらの方。

質問者3 今日はありがとうございます。峰岸さんにぜひご質問したいと思います。私もリクルート卒業生、OBなんですけども、すごく不思議なことがですね、いつも不思議に思っていることがあって、ぜひ峰岸さんに聞きたいのは、リクルートの経営者は何をモチベーションに頑張っているのかというところで、リクルートって毎年、すごい数字を各部署で追い込んで、達成に異常な情熱を燃やし、いまだに高い成長率をもち、利益を上げていると思います。

われわれのようなベンチャー企業であれば、創業者のオーナーとして会社を大きくするとか、上場しようとか、あるいはいろいろモチベーション、上場していればたくさんあるんですけど、リクルートは未上場だし、創業52年目で社長もどんどん今変わっている中での新しい社長というところで、本当に不思議なんです。

このどのベンチャーよりもモチベーション、社長としてのモチベーション、経営者としてのモチベーションっていうのは、どこから来て、どこへ進んでいるのかなと、ぜひお話をお伺いできれば、よろしくお願いします。

藤田 では峰岸さんお願いします。

峰岸 質問者3さん、着物が似合いますね。

質問者3 ああ、ありがとうございます。すいません。

峰岸 たぶん、質問者3さんがリクルートの社長になられても、同じように考える可能性が高いと思います。やはりですね、私がいちばん大事にしているのは、何事においても、強い動機だと思います。

よく新入社員とか若い方が、何をしていいのかわからない。たとえば、独立したいけども、ビジネスモデルも思い浮かばないし、ですとか。たとえば、リクルートのような会社に入社してきても、自分がどうしていいのかわからないという方もいらっしゃいます。

でもフェイスブックのザッカーバーグもそうだったように、初めの動機は不純でしたね、彼は。女性にふられて、見返してやるぞって一心で、その強い動機でもってずっとやって、ビジネス、サービスを開発していこうということで、第一歩が生まれたと思うんですよ、

その動機の種類は、いろいろだと思うんですね。たとえば、お金持ちになってやりたいとか、やっぱり自分の城を作りたいとか、あるいは、すごく社会的な課題を解決したいとか、大きな大志を抱いて、ビジネスされる方とか、いろんな種類の動機はあるんですけど。絶対成功者っていうのは、動機の強さが圧倒的に高い。

いろんな種類の動機があるんですけど、その強さだけは誰にも負けないものがあると思うんです。そのプロセスの中で、会社が大きくなってきたときに、経営者はいろんな動機が必ず善に変わっていくと思います。善というのは、いろんな不純な動機から始まるんだけども、あるいは初めからすごく純粋な動機の方もいらっしゃるんですが、ある段階で企業規模が大きくなると、必ず社会的使命に、その動機が皆さん変わっていく。

変わっていった瞬間に、企業そのものが、持続性を持つということだと僕は思っていまして。そのときに、企業は持続性を持った、大きな大志を抱いた法人格……人格に似ているんですが、法人格に変わると思っています。その法人格のDNA、細胞一つひとつが、そこに所属する、従業員だと思っています。

なので、いろいろな変遷を経て、ある一定の社会的価値を果たす企業規模になったときは、その細胞やDNAの一つひとつのパーツを担っている人間が、その法人格のバトンタッチを受けていくというふうに思っています。

バトンタッチを受けた人間は、その人間そのものも、初めは不純な動機で、一つひとつの細胞やDNAだったかもしれないんですが、その引き継いだ瞬間にあるいは引き継ぐ頃には、考え方が徐々に徐々に変わっていくんじゃないかなというふうに思っていまして。

僕のモチベーション、私のモチベーションは、あるいは5代目なんですけども、それまでの方のモチベーションも、あるときからそういうふうに変わって、今の私のモチベーションは52年、リクルートのDNAというのは、続いてきて、次50年っていうのをどういうふうに考えようかということを考えてまして、ほんとにリクルートの前代のDNAというものを次の50年、100年を、日本だけじゃなくて、世界のDNAにして広げたいと純粋に思っています。

僕はそんなことは入社したときには、ちっとも思っていませんでした。3年で辞めて、独立しようと思って、独立して金持ちの起業家になろうと思っていましたので。それはやっぱり人は変わるんじゃないかなというふうに思っていまして。今は本当にきれいごとじゃなくて、そういうことを思っていまして。それは、素直な心情でございます。

藤田 ありがとうございます。締めにとても良いお話をありがとうございました。

以上で、このセッションを終わらせていただきますけど、皆様に立場を利用して、勝手なことばかり聞いてしまいました。僕は圧倒的に、パネラーでいるよりこっちのほうが楽しかったです。皆さんどうもありがとうございました(一同拍手)。

(司会を務めた藤田社長が、当日の感想を書いたブログはこちら http://ameblo.jp/shibuya/entry-11278204331.html。)

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