セーラー万年筆・中島氏がクーデターに反論

旧大蔵エリートが解職され、会社を訴えた

――破綻の危機から救ったとはいえ、業績的には、文具事業とロボット事業で、どちらかがよくて、どちらかが悪いという、浮き沈みを繰り返している。継続企業の前提にも疑義注記がある。

確かに長い間、低迷していたが、ようやく水面上に顔を出せるところまできた。2015年12月期は、文具事業はよくないが、ロボット事業が好調なので、やっと経常利益ベースで黒字化を果たせそう。2006年12月期以来、9年ぶりのことだ。

財務的にようやく安定し、経常利益も黒字化。さらなる成長に向けて、物流や生産の合理化、海外事業の強化など、いくつかの施策を考えている。2016年から実行するつもりでいた。

――経営再建には、最初の段階で、コストカットと貸借対照表のテコ入れが必要だ。その次の段階として、売上高を伸ばす必要がある。あなたが社長になってから、増資には成功したが、売上高はほとんど増えていない。

確かにそうだ。ロボット事業はようやく軌道に乗ってきた。ただ、文具事業は他社に比べ、競争力のある商品を開発できていないこともあり、なかなか計画通りにいっていない。

今は社員に十分なボーナスを出せていない。私にとっては、責任を感じている。早く経営を建て直し、しっかりと給与やボーナスを払える会社にしたい、と思っていた。

――業績不振が長期化した要因はどこにあると考えているか。

セーラー万年筆は、日本で初めて万年筆を作ったり、筆ペンを発明したり、いろいろと進取の気概に富む企業だった。ところが、私が入社する前から、新しいものを開発し、挑戦する姿勢が弱くなっていた。どんどん業績が悪くなり、リストラを繰り返すことで、つじつまを合わせてきた。

――過去のプレスリリースを読んでいると、(中島氏の社長時代に)役員の所管業務の変更が頻繁に行われている。

前の経営者が30年近く実権を握った会社なので、人心を一新する必要があった。私は古い体質を変えたかった。どんどん積極的に新しいことに挑戦する風土を作りたかった。みんなの合意を得られる範囲でやってきたし、2年以上という時間をかけて旧体制の方には退いてもらった。

カネを集めたから、もう用はない?

「『カネを集めてくれてありがとう、後はわれわれがやる』では、私にも言い分がある」(撮影:今井康一)

――改めて解任に至る経緯は?

12月11日の夕方、”社内”取締役会が開かれた。これは社内的な俗称で、法的に定められた取締役会ではない。監査役も社外取締役も参加せず、言わば”幹部ミーティング”だ。

その場で比佐氏らから、「カネを集めてくれてありがとう。後はわれわれがやるので辞任してくれ」といった趣旨の話があった。

その理由はリリースに書いてあるような内容だ。そこで私は「待てよ、こちらにも言い分がある」と反論した。ところが、彼らは「ここで返事をしなければ、翌日の取締役会で議決する。議決されるのが嫌なら自分で辞めなさい」と言った。だから、私は「納得いかない。ここでは返事ができない」とその場を去った。

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