待望の新車投入で三菱自動車が迎える正念場
三菱自動車は8月下旬、国内で2年半ぶりとなる自社開発の新車「ミラージュ」を投入する。
2010年2月の「RVR」以降、三菱自が国内向けに発売した新車は、日産自動車やスズキからのOEM車と商用車を改造した電気自動車のみ。ハイブリッド車などのエコカーと軽自動車が全盛の国内市場で“玉不足”の三菱自のシェアは5年前から1ポイント強低下し、3・5%(11年度、軽・輸入車含む)と国内乗用車メーカーで最下位に沈む。
この間、三菱自は新興国市場の開拓に注力。強みの1トンピックアップトラックやSUV(スポーツ多目的車)の販売をASEANで伸ばした。結果、業績は比較的好調とはいえ、このまま国内販売の先細りが続けば、販売店が干上がりかねない。
そうした中、三菱自の国内営業と販売店が待ちに待ったミラージュ。その最大の売りは高い燃費性能だ。
軽量化や空気抵抗の軽減を徹底することでHVや軽自動車並みの27・2キロメートル/リットルを実現。この数値はガソリンエンジンの普通車では国内トップとなる。購入時に自動車取得税や重量税が免税される「100%免税車」に、マツダ「デミオ」に続いて普通車ながら認定された。
もう一つの売りは、最廉価モデルで99・8万円からという低価格にある。ミラージュはタイ工場で生産し逆輸入することでコストを抑えた。エンジンやサスペンションなどの規格を一本化、部品ごとの種類を削減するといった細かいコスト削減策も積み重ねた。