待望の新車投入で三菱自動車が迎える正念場
タイでの生産で日本のユーザーに不安を持たれないように品質管理体制を強化。これまで紙上で行ってきた車体検査をオンライン化し、タイでの出荷前検査の結果を、日本でも円滑に確認できる体制を整えた。
一方で、不安要素もある。国内の自動車販売を押し上げてきたエコカー補助金は、8月中旬にも終了する見込み。ミラージュは需要を先食いした市場に投入される。
タイの好調で供給面に不安も
さらに、日本での発売を前に悩ましい問題が浮上している。想定以上に好調なタイ市場の動きだ。
日本より早く、生産地であるタイで3月末からミラージュの販売を開始している。初めて新車を購入するユーザーへの優遇税制やエコカー購入者向けの減税措置などの追い風もあり、月間2000台の計画に対し、発売後3カ月間の受注は3・1万台に達する。燃料計の不具合で1万台のリコールを行ったものの、足元の販売は好調を維持。12年度のミラージュの生産台数計画は12万台。タイの需要を満たそうとすれば、日本に回す余裕がなくなってしまう。
ミラージュを生産するタイ・ラムチャバン第3工場は、稼働率を上げることで短期間に15万台まで増産することができる。それでも日本でもヒットした場合、供給能力は十分ではない。