民主主義の危機打開に、住民投票制度の活用を
こうした現象について、最も楽観的な見方をすれば、新しい民主主義の芽吹きの予兆と解釈することもできようが、最も悲観的な見方をすれば、巨大な混沌と衰退が長く長く続くトンネルの入り口と見ることも可能である。
現在のこうした政治状況を個々人のレベルに引き付けて見れば、多くの人が現実問題として困り果てている問題が、自らの投票行動である。つまり多くの有権者にとって、どの党に投票すべきかの決定が非常に難しくなってしまっているのだ。
投票したい党が見当たらない
もちろん従来の選挙でも、多くの有権者は特定の政党の政策に100%賛同して投票してきたわけではない。それでも、どの党に投票するかについて多くの有権者には戦略があった。たとえば「政界再編が起こってほしいからA党」「政権交代を実現したいからB党」など。
だが現在、多くの有権者がこうした戦略を立てることに、多くの困難を感じているように思われる。推測できる理由は、次のようなことだ。
第一に、今後の政治の流れや対抗軸が見えにくくなった。あるべき政治の構図が見えなければ、投票戦略は立てにくい。
第二に、非常に多くの政党が濫立しているにもかかわらず、投票したい政策を提示している政党が見つからない。
たとえば「増税し、財政支出も減らす」という財政的選択肢を明確に提示している政党は見当たらない。