民主主義の危機打開に、住民投票制度の活用を
第三に、仮に望ましいと思う政策を提示している政党が見つかったとしても、その本気度や実現能力を信頼することができない。
第四に、仮にある党の経済政策に賛同できても、その党の外交政策には賛成できないとか、国家観・歴史観に賛成できないなど、投票したい政策やイデオロギーの組み合わせを満たす政党が見当たらない。
たとえば「増税に賛成し、かつTPPに反対する」という組み合わせが当てはまる政党は見当たらない。
第五に、仮にある党の政策に賛同できても、自分の選挙区にはその党の候補者がいない。
「こんな問題は、いつの選挙でも多かれ少なかれ存在する」という反論は当然予想されるが、現在、投票戦略に困難をもたらす要因がかつてないほど増えているように思われる。
こうした閉塞的な状況の下で、ポピュリズム的な手法で人気を集めているのが第三極の地域勢力だ。
大阪の「大阪維新の会」、名古屋の「減税日本」、東京の石原慎太郎都知事の勢力などだが、実際に自治体の首長として行った政策を検討してみれば、奇矯で非常識なものや極端なもの(たとえば自治体が領土問題に介入する、職員の思想・信条の自由を侵すなど)が目立ち、また政治的手法も独善的・高圧的で、政権を託せるような勢力とは思えない。
しかし、このまま手をこまねいていれば、多くの有権者が投票方針を立てられないために棄権が増え、それに乗じてポピュリストやデマゴーグが跳梁するといった事態をも招きかねないのも事実だ。