「銀行同盟」の創設はユーロを救えるのか--ハワード・デイビス パリ政治学院教授
ここ最近、欧州銀行同盟を設立するという案が、ユーロ危機の解決策として浮上している。確かに、銀行同盟のメリットは多い。だが、そうしたメリットが何であれ、この案は現段階で答えられるよりも多くの疑問を含んでいる。
銀行同盟を提唱する人々の動機はさまざまだ。欧州南部を中心とする地域の人々は、困窮した自国の諸銀行を支援する負担をより裕福な銀行にシフトする方策だと見ている。EU本部の閣僚に目立つが、欧州の超国家組織の構築における新たな前進だとの見方もある。
欧州中央銀行(ECB)は、熱意で劣るわけではないが、より思慮深い態度を示し、銀行同盟は三つの目的を持つべきだと論じている。
第一にユーロ圏全体にわたる監督を強化すれば、金融統合が強まり、その結果、マクロ経済的な不均衡が減少し、金融政策の運営が改善するはずだとしている。いかにしてEUの単一の監督当局が不均衡の問題に取り組むかについての説明はないが、価値ある目的ではある。
第二の目的は、銀行問題とソブリン問題の連鎖を断ち切ることであり、第三は、金融業界による十分な負担によって納税者のリスクを最小にすることだ。第三の目的は国ごとに達成することも可能だが、横断的な銀行税または欧州全体にわたる金融取引税が競争の歪みを取り除くという見方は議論に値する。
では、どのようにして、これらの目的は達成されうるだろうか。欧州委員会は、銀行同盟は4本の柱に依拠すべきだと論じている。