中部電力は浜岡原発停止でも自動車向け販売増、関電等への融通増で赤字縮小
中部電力は7月30日、今2013年3月期の第1四半期(4~6月)決算を発表した。自動車関連の生産増で産業向け電力販売量が伸びたこと、関西電力などへの融通電力量の増加を主因に、売り上げは前年同期比16.7%増の6295億円と大きく伸びた。
浜岡原子力発電所停止による振り替え火力の増加とLNG価格の上昇により、燃料費が対前年同期比で1065億円増加。営業利益は13.6億円の赤字(前年同期は222億円の黒字)に沈んだが、原発への依存度がもともと低かったこと、さらに販売電力量増加により、赤字は小幅だった。原発依存度が高い関西電力が同日に発表した第1四半期決算が1405億円もの営業赤字(前年同期は573億円の黒字)を計上したのとは対照的だ。
東洋経済は「会社四季報」夏号(6月発売)で通期売り上げを2兆5500億円、営業赤字500億円、経常赤字800億円、最終赤字800億円と予想していたが、第1四半期の実績を踏まえ下記のように赤字幅縮小を予想する。
なお会社側は、今回も業績見通しを明らかにしていない。「(関西電力、九州電力など)他電力の原子力発電所の稼働状況により応援融通の規模が変わるなど、今後の需給動向を見極めるのは困難。一定の前提を置いて合理的に業績予想をお示しすることはできないと判断した」(水野明久社長=上写真)。
一方、配当方針については修正した。今年3月に拡充した浜岡原子力発電所の津波対策工事の完了時期が13年12月へと1年延びたことなどから、年60円配維持の旗を降ろし、未定とした。「昨年5月以来のスタンスは、浜岡の停止期間は2~3年という前提で、なるべく株主に迷惑を掛けないよう年60円配を維持するというものだった。しかし、原子力を取り巻く環境が変わってきていることから、60円配維持を掲げ続けることは難しくなった」(水野社長)。
中部電力は00年3月期から年60円配(それ以前は50円配)を続けてきたが、浜岡再稼働までは配当水準を引き下げる見通しだ。
(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
連本2012.03 2,449,283 -37,667 -67,857 -92,195
連本2013.03予 2,850,000 -9,000 -40,000 -50,000
連本2014.03予 2,600,000 -30,000 -60,000 -60,000
連中2011.09 1,159,211 8,188 -6,168 -19,006
連中2012.09予 1,400,000 -3,000 -18,000 -24,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2012.03 -121.7 60
連本2013.03予 -66.0 20-30
連本2014.03予 -79.2 20-30
連中2011.09 -25.1 30
連中2012.09予 -31.7 0-10
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