ワールド、初の外部出身社長が変えたこと

復活期すアパレルの雄、決算から見えた展望

「タケオキクチ」は上質化・大人化を打ち出し、40代をターゲット層とした(撮影:梅谷秀司)

ワールド本体の40歳以上の正社員を対象とした早期希望退職では、4分の1強に当たる498名が退職。この結果、今後は年間で25億円の人件費削減が見込まれることになった(今下期は12.5億円)。店頭の販売スタッフ、約1.3万人が勤務する子会社のワールドストアパートナーズはリストラの対象外。店舗の数が減って、スタッフ数は大きく変わらないので、1店舗当たりのスタッフはむしろ増えることになる。「不振店舗は閉鎖するが、残した店舗については販売力を強化して売り上げを伸ばしたい」(広報)という考えだ。

構造改革に伴う特損を計上し、上期の当期利益は前年同期並の12億5600万円の赤字に沈んだが、営業益ベースでは赤字転落の危機は免れた感のあるワールド。来2017年3月期の目標として掲げる、営業益100億円超の達成は現実味を帯びつつある。しかし、合理化策だけではいずれ限界を迎える。来期は再成長に向けた種蒔きの時期と位置づける。

再成長を牽引するブランドとして今後力を注ぐのが「シューラルー」だ。価格帯は低めで、トレンドを追いかけつつ、ベーシック商品も取り揃える。年齢など顧客対象も幅広く設定している。

地方の小商圏に活路を求める

出店は地方の小商圏がターゲット。競争を避けられるニッチ市場で地域密着の販売戦略を展開すれば、勝機を見出すことは可能と判断したようだ。「シューラルー」の店舗は2015年11月17日時点で281店(直営230、FC51店)。2015年4~9月期の売上高は97億円(ネット販売やFC売り上げは含まず)で、「アンタイトル」の同77億円、「タケオキクチ」の同44億を上回る。

型数を削減するなど、利益を伴わない売り上げを追わない方針に転換したことで、今上期は「アンタイトル」が前年同期比2.2%減、「タケオキクチ」も6.9%減と売り上げを落とす中、「シューラルー」は0.3%減とほぼ横ばいに止まった。今後は狙いを定めた商圏に、直営とFCの両睨みでアプローチを強化。2018年3月期の飛躍を目指し、“仕込み”を開始する。

総務省の家計調査を見ると、被服および履物への1カ月当たり家計支出は、1996年の1万9400円から2010年には1万1500円まで激減したが、2014年には1万2000円に戻すなど下げ止まっている。アパレル業界では、カジュアルブランド「グローバルワーク」を手掛けるアダストリア(旧ポイント)が一時期の不振を乗り越えて今年業績を急回復させ、注目を集めている(詳細は「カジュアル衣料のアダストリア、復活の理由」)。

業界環境は良くはないが、打つ手がないわけでもない。国内アパレルの先駆者的存在であったワールドの復活なるか、真価が問われている。

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