インドと中国、なぜ経済に大差が付いたのか

日印関係強化の先にあるハードル

とはいえインドはあまりにも遅れている経済を発展させなければならないのは明らかだ。かつてインドの経済成長率は’Hindu rate of growth’、要するに「インドらしい低成長率」だと揶揄されるほど低かった。国民会議派は、東南アジア諸国が「開発独裁」的な方法で著しい経済成長を達成したのと異なり、複雑な社会状況に応じるため社会主義的な政策を取ったが経済的には成功しなかった。

年来の友邦ソ連が崩壊し、湾岸戦争で石油価格が暴騰するに伴いインド経済が破産寸前まで落ち込む中で、ようやく経済改革が始められた。それ以来インド経済は一定程度開放的になり、かなりの実績も上げ、「インドも改革を始めている」と、世界の注目を浴びるようになったが、今後中国のように急速な経済成長を実現できるとは限らない。

インドはインドの方法で、すなわち民主主義的に前進していくしかない。そうなると決定に至るまで時間がかかり、迂遠な道を通らざるをえないなど、その負の側面が強くなることもある。だからとって強権的な方法で反対を押しのけるべきでないのはもちろんだ。民主主義の価値は重要である。

2014年5月の選挙で積極的な経済改革を掲げてBJPを大勝に導いたモディ首相は、西部グジャラート州で高い経済成長を実現した経験に基づき「モディノミクス」を進めている。その主要な柱は、海外からの投資の積極的な受け入れ、国内のインフラ整備、製造業や観光業などを中心とする雇用の拡大などである。

今般、安倍首相は前述したようにモディ首相と、新幹線の建設協力、原子力協定の締結などを含む日本からの投資の拡大策について合意した。実は、日本からの投資額は2008年をピークにその後は大幅に減少していた。2011年には日本とインドの間で「包括的経済連携協定」が締結されたが、投資額の回復はまだ不十分であり、現在はピーク時の半分以下にとどまっている。日本からの進出企業数は一貫して増加傾向にあるので、投資額だけで全体を測るべきでないが、日本からの投資を増大させる余地は大きく、また、そうすることがインド経済の今後の発展に必要なのだろう。

モディノミクスの課題とは?

「モディノミクス」はバラ色ではない。インドの政治・社会状況はまだ大きく変化しておらず、経済成長を阻害する諸要因は残存している。いくつかの州の首相はBJPの政敵であり、また連邦議会の上院では、BJPは4分の1程度の少数勢力だ。

改革の成果が不十分だという声もすでに上がっている。インドは「実績次第で選挙が変わる」と言われる国であり、2015年2月の首都圏選挙、11月のビハール州選挙でBJPが大敗を喫したので、政権は再度不安定化すると危ぶむ声もある。

なかでも民主主義がどのように機能するかが大きな不確定要因であり、中国のようにスピーディーな経済成長は困難かもしれないが、インドが種々の阻害要因を克服して国家としての経済効率を高め、民主主義的な方法で国民のための高度経済成長を達成することが期待される。

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