原発事故の警戒区域解除は「早すぎた」 南相馬市・住民アンケートで国や市への批判が続出

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 

阿武隈高地の山すそに位置する川房行政区は比較的放射線量が高いことを理由に、全域が「居住制限区域」に指定された。ただ、5月6日に住民が空間放射線量を測定したところ、居住制限区域レベルどころか、年間の積算線量が50ミリシーベルトをはるかに上回る地点がいくつも見つかった。そうしたことから、「居住制限区域になった(=にとどまった)のは納得いかない」とアンケートで答えた住民もいる。

アンケートでは「高線量の地区は帰還困難区域に指定されるべきだと思うし、そうならないことが自体がおかしいのではないか」との記述もあった。「放射線データを多く取り、正しい基準数字を出してほしい」という意見もあった。

行政に対する批判も根強いことが集計結果から判明した。警戒区域解除のタイミングなど南相馬市の対応について、「行政だけで判断していると思う」と答えた人が65人(78.3%)にのぼった。その一方で、「市民に説明をしたから良いと思う」と答えた人はわずか5人(6.0%)にとどまった。

自宅に自由に出入りできるようになったにもかかわらず、多くの住民が歓迎していないことには理由がある。除染作業や上下水道、井戸などのライフライン復旧を後回しにして警戒区域を解除したことに加えて、放射線防護措置を不要にしたことも要因だ。警戒区域時とは異なり、防犯体制も手薄になっている。

南相馬市の村田博・小高区地域振興課長は「警戒区域を解除しなければ、除染もインフラ復旧もままならない」と説明する。しかし、多くの住民がそうした説明に納得していない。

 


川房行政区の空間放射線量は高い

 

 


除染作業のための予備調査が続く(南相馬市小高区川房行政区)

 

 

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事